裏切られた中国民主化の夢 「建設的関与」という欧米と日本の偽善
こうした誤読はなぜ生じたのだろうか。第1の要因は、欧米と日本は自国が経験した歴史を過信していたからだ。「王と地方諸侯による分権的な封建制から資本主義に移行。その過程で人権思想が定着して、万人平等の原理に基づく民主制度が定着する」という思い込みだ。
実際、中国では地方分権的な封建制が確立されたことはなく、皇帝を頂点とする中央集権制だけが存続してきた。近代に「革命」が起こっても、実態は新皇帝が共産党の主席や総書記と名乗っただけ。憲法改正で終身の国家指導者の座に上り詰めた習近平(シー・チンピン)国家主席も例外ではない。
第2の要因は、欧米や日本による意図的な誤読だろう。そもそも「人権」「民主化」といった近代的理念はあくまでも先進国にのみ適応可能。マルクスらが指摘した「アジア的専制主義」の中国には無理だから、「建設的関与」の看板を振りかざしながら堅実的に商売しようという割り切った発想だ。
誰も中国という巨大市場を失いたくなかったので、金儲けを優先してきた。中国も「西洋列強」の偽善に満ちた心中が読めたので、「中国的特色ある社会主義」の道を守り通してきた。
国際社会は「紙くず」で束ねられているにすぎないし、実力こそものをいう時代だ――そう確信している中国が、自ら国際秩序を書き直す時代が来るのを防がなければならない。
<本誌2018年6月19日号掲載>
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
旧植民地の心の傷に思いを馳せない日本の出版社 2023.11.04
777年前に招待状を出したモンゴルを、ローマ教皇が訪問する本当の狙い 2023.08.26
「チンギス・ハーンの子孫の国」へも越境法執行を始めた中国警察 2023.05.18
上海で拘束された台湾「八旗文化」編集長、何が中国を刺激したのか? 2023.05.01
中国による台湾言論界の弾圧が始まった 2023.04.21
ウクライナ戦争は欧米と日本の「反ロ親中」思想が招いた 2022.03.16
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員