コラム

リベラルは復権のために、民主主義を侮蔑する「幼稚な支持者」と縁を切ろう

2022年07月06日(水)08時03分

11月の米国の中間選挙でも、バイデン民主党政権の苦戦が予想される半面、共和党はとりわけトランプ前大統領派を中心に意気盛んだ。最高裁判決を受けて、バイデンは連邦法の制定によって中絶の権利を維持できるよう中間選挙の争点にする意向を示したが、それが吉と出るかはわからない。

この窮状は、一朝一夕には変わるまい。しかしそれでも私たちにはなお、できることがある。

裁判所の判決であれ、選挙の投票結果であれ、内心ではずっと依存してきたにもかかわらず「期待と違う」だけで手のひらを返す人々を、民主主義にふさわしい担い手と見なすのをやめることだ。彼らの幼稚な言動で粉飾される文化と「距離を取る」ことが、唯一のリベラル復権への道である。

プロフィール

與那覇 潤

(よなは・じゅん)
評論家。1979年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科で博士号取得後、2007~17年まで地方公立大学准教授。当時の専門は日本近現代史で、講義録に『中国化する日本』『日本人はなぜ存在するか』。病気と離職の体験を基にした著書に『知性は死なない』『心を病んだらいけないの?』(共著、第19回小林秀雄賞)。直近の同時代史を描く2021年刊の『平成史』を最後に、歴史学者の呼称を放棄した。2022年5月14日に最新刊『過剰可視化社会』(PHP新書)を上梓。

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