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世界各国で続発、中国人が突如「姿を消す」事件...見えてきた黒幕「海外110」とは?
AlxeyPnferov-iStock
<中国は国外に実質的な「中国人のための警察署」を設置し、問題のある人物の中国への帰国を促しているが、これが国際的に問題視されるように>
10月22日に第20回中国共産党の党大会が終了した。習近平総書記が史上初の3期目に突入し、今後5年間は、習近平体制が続く。
習近平が権力基盤を盤石にした理由の一つには、これまで容赦なくパージを続けてきたことがあると言える。米ワシントン・ポスト紙によれば、「習近平が2012年に権力の座についてから、当局は270万人以上を捜査し、150万人以上を処罰した」という。台湾メディアでは、習近平は、「タイガー」とも呼べるような権力を持つ高官たちから、地位の高くない「ハエ」までをパージしてきたと報じられている。
そんな中国だが、最近、さらに別の疑惑が取り沙汰されている。世界中で、中国人を「取り締まる」活動を実施していることが、スペインに本部を置く中国に特化した人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」の公開した報告書で明らかにされている。
報告書は「海外110〜中国の国境を超えた警察行動が異常なレベルに」というタイトルで、20ページからなる。さまざまな証拠をあげながら、「2018年に地味にスタートしたこのキャンペーンは、中国国外の各地で『サービス・ステーション(拠点)』が設置されるのと併せて拡大してきた」と指摘する。そして「この拠点は時に『海外110』と呼ばれている」
日本では警察への緊急電話は110番だが、中国も同じで、「海外110」とは海外の中国人用警察署というような意味になる。要するに、海外に中国人の警察署がある、ということだ。報告書によれば、5大陸の12カ国にその「警察署」は確認されており、日本では東京が拠点としてリストアップされている。
世界各地で突然「姿を消す」中国人たち
「海外110」の目的は、詐欺行為やオンライン詐欺などに関与したとされる人たちを「自発的」に帰国させることだという。そして、2022年4月14日に中国公安部・杜航伟副部長は、「中国公安部は2022年8月17日、2021年4月から2022年7月までの間に23万人の個人をこのキャンペーンで帰国するよう説得した」と述べている。このキャンペーンが2018年から行われていることを考慮すると、その数はさらに多くなるだろう。
そして実はこれまで、世界各地では、多くの中国人が突然、姿を消すというケースが確認されていて、拠点が置かれている国の中には、その事実を問題視している場合もある。例えば、アメリカだ。筆者も、2022年初めには、「米情報機関はこの実態を『問題視』しているので注目しておいたほうがいい」と、米情報関係者から聞かされていた。
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