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ロシアは地上戦だけでなく、スパイ戦でも惨敗...米情報機関の「ロシア人スパイ募集」動画の中身
CIA本部 Larry Downing-Reuters
<CIAとFBIが立て続けに「ロシア人スパイ」を求めるメッセージを発信。現在はロシアの内部情報にどれだけアクセスできているのか?>
ロシアのウクライナ侵攻の裏では、西側の情報機関の動向も注目されている。
■【動画】CIAの「ロシア人スパイ募集」動画の中身を、翻訳付きで解説
今回のウクライナ侵攻では、ロシアが武力行使を行う5カ月ほど前の2021年11月頃から、アメリカのCIA(中央情報局)をはじめとするインテリジェンス・コミュニティからロシアの侵攻に向けた動きを裏付けるような機密情報がもたらされていた。こうした情報は、アンソニー・ブリンケン国務長官など米政府関係者からだけでなく、メディアなどを通しても意図的に公開されていた。
CIAについてはこれまでも、ロシア政府の中枢に近いところにどれほどのアセット(協力者)がいるのかがインテリジェンス界隈では関心事になってきた。というのも、CIAには以前、ロシアで政権内部のかなりハイレベルな機密情報を提供できる重要なスパイがいて、プーチンや周辺の情報にアクセスできていたとされるからだ。だが2017年に正体がバレる可能性が高まったとして、やむなく救出してアメリカに亡命させたと言われている。この話は、2019年に複数の政府関係者の証言から明らかにされた。
これは一例に過ぎないが、こうした話から、CIAは今回のウクライナ侵攻でロシアの政権内部や動向についてあまり確度の高い情報は以前のようには収集できていないのではないかとの見方もあった。ところが、2023年4月に大きな話題になった米州兵による「ウクライナ侵攻などに関わる米機密」の流出事件では、米情報機関がロシアの内部情報などもかなり掴んでいたことが明らかになった。
スパイ合戦でも圧倒されているロシア
結局のところ、米情報機関は、NATO加盟国や西側の価値観を共有するような国々の情報機関による対ロシアのインテリジェンス活動からも、かなりの情報を収集している。ウクライナ情勢をめぐるスパイ合戦でも、ロシアはロシアをライバル視する多くの国々と対峙していることになり、圧倒されている可能性が高い。
CIAは5月、あらためてロシア人などロシアについての情報を集めることができるスパイを募集するロシア語の動画を公開した。「私が CIA に連絡した理由:私の決断」という2分弱の動画は、YouTubeの公式チャンネルなどでアップされている。
さらに特筆すべきは、暗号通信ができる「Tor(トーア)」を使ってダーク(闇)ウェブを介した連絡方法も提示し、協力者が誰にもバレないでCIA側に接触できるようにしていることだ。国を裏切ることになるロシア人のスパイは、身バレを心配することなくCIAに協力することができるということだ。
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