
最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
「捨てる」は終わり!最前線の『アップサイクル×社会貢献』~ ポートランド発・希望を紡ぐプロジェクト ~
| 「アップサイクル×社会貢献」次世代のサステナブルアクション
こうした米国での取り組みは、現在の日本においても決して無関係とは思えません。
日本ではアップサイクルの考えがまだ十分に広まっているとは言えませんが、新たな価値を創造するこのコンセプトは、持続可能な未来を築くためのカギとなる概念です。
この『ソーシャル・アップサイクル』という考え方は、米国でも比較的新しく注目されている取り組みです。
単なるアップサイクルや再利用にとどまらず、その過程を地域社会と結びつけ、支援が必要な人々をサポートすることを目的としています。これは、環境への配慮だけでなく、地域コミュニティ全体に新たな価値をもたらす仕組みなのです。
日本でこのような新しいコンセプトを広めるには、まだ多くの課題があります。その中でも、集客数日本一を誇る大手ファッションビル運営企業によるアップサイクル・プロジェクト。持続可能な社会を目指す新たな取り組みが、いくつも試されている様子が連日報道されています。
こうした動きが広がる中で、地域の価値を再認識し、新たな形で活かそうとする流れも緩やかに生まれているようです。

| 「JIMOTO アップサイクル」 地域と共に歩むサステナブルな選択
最近、目にする機会が増えた『JIMOTO』という言葉、ご存知ですか。
もともとは、地元を指すものですが、M・Z世代の間では『地域の資源を活かし、新たな価値を生み出す』という概念へと進化しています。
ファッション、アート、食文化など多様に地域独自の魅力を掘り起こし、新たなビジネスやコミュニティ形成へと結びつける動きが広がりつつあります。
しかし、その一方でM・Z世代が直面するのは、低賃金や長引く物価高騰による経済的な制約です。
多くの若者にとって、環境に配慮したエシカル消費やアップサイクル商品は魅力的。でも、価格の高さがネックとなり、手が届きにくい現実もあります。持続可能な選択をしたいという意識はあっても、経済的な理由からファストファッションや低価格の大量生産品を選ばざるを得ない人が多い。
それでも、M・Z世代は単なる価格の安さだけではなく、消費行動の背景にあるストーリーや倫理性を重視する傾向が想像以上に強まっています。SNSを通じて、環境負荷の高い大量生産型のビジネスモデルが問題視されるなか、地元資源を活かし、地域に根ざしたサステナブルな選択肢が注目されつつあります。
アップサイクル品が単に高価なエシカル商品としてではなく、地域経済を支える手段である。そして、長期的な視点でコストパフォーマンスの良い選択肢となることが伝われば、より多くの若い層の支持を得ることに繋がるでしょう。
『JIMOTOの視点 x アップサイクル』という仕掛けを作る!
このことで、地域の職人や若手デザイナーとの協働が生まれ、廃棄予定の素材を活用した新たな製品づくりにつながる可能性があります。
地域と共に成長し、経済的にも持続可能な選択肢としてJIMOTOアップサイクルが広げるモデルケースを増やしていく。これによって、日本でも新たな消費の形が生まれやすくなるはずです。

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この続きは、あなたの手の中に。さて、どんな未来を紡いでいきたいですか?
次号特集:ポートランド流『女性の働き方』に迫る!
米国といえども、男性中心とされる建築・デザイン業界。そんな中、新しくオープンしたポートランド国際空港のプロジェクトに携わったシングルマザーがいます。
建築の学位を持つわけでは無い彼女が、どのようにキャリアを築き、男性中心の現場で経験を積んできたのか?働く母としてのバランス。苦悩、知恵。ポートランド流の働き方と、彼女が切り拓いた道のり。その真髄に迫ります!
2025年5月下旬に掲載です。

- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)