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山本彌生|アメリカ

「もしトラ」→「ほぼトラ」→「?」 バイデン撤退後のアメリカで起こっている「ストレートな会話」とは?

newsweekjp_20240722183821.jpegPhoto | Courtesy OregonLive

トランプ&バンス氏の大逆襲!共和党大会で見せたツーペアー

一方、暗殺未遂後、『トルネード』並みに乗りに乗っているトランプ氏。

襲撃後の初演説となる共和党大会が、18日に開催されました。その舞台は、激戦州としても有名なウィスコンシン州。ここを制すると勝利に大きく近づくとされる場所です。

世界中の注目を集める中、トランプ氏は白いガーゼを耳に当てて登壇。国民にアピールを始めます。銃撃事件前までの攻撃的な物言いとは打って変わり、神妙な語り口。

「アメリカ社会の不和と分断は癒されなければならない。」

その後も、驚くほど穏やかなトーンで続けます。

「老若男女、共和党・民主党支持者、無党派層、黒人、白人、アジア系、ヒスパニック系を問わず、すべての国民に忠誠を誓います。」

民主党の十八番であるはずの国民の団結。さらには分断の修復を群衆に呼びかけたことに、国民は驚きを通り越してあんぐり...。

とはいえ、中盤からは徐々にトランプ節が復活。現政権や民主党議員の批判から、経済、外交、非合法移民問題へと話題を展開して、通常運転で爆走します。

そして、締めの言葉は会場の観衆と共に雄叫びを。

「アメリカを再び偉大な国に!」

会場に響き渡る群衆の声のうねりと熱気が、TV画面を通してこちらにも伝わってきます。

そのステージをしっかりと見守っていたのが、トランプ氏に忠誠を誓った副大統領候補のバンス氏。別の意味で、すでに世界から注目を集める存在です。

トランプ氏の熱烈な支持者でもある『アメリカの繁栄から取り残されてきた白人弱者』『荒んだ地域と貧困』。

実は、バンス氏自身がその層の出身。『アメリカ版成り上がり』『白人クズ層から副大統領へ』と揶揄されながらも、それをどう上手く切り札として使っていくのか。

このツーペアが最強の持ち札となり、無党派や新たな層を共和党へ呼び込むことができるのでしょうか。

※次回はここからさらに深掘り!トランプ氏が起用した白人弱者貧困層出身のバンス氏。彼を支持する『荒んだ地域と貧困層』。そこから見える『日本社会との共通の問題点』とは何かに迫ります。

世界の命運を握る!ハリスVSトランプ、決戦の4か月間

今回の襲撃事件によって、大きなチャンスを手にしたトランプ氏。現段階では、もしトラから『ほぼトラ』に移行している雰囲気の米国。

そのバロメーターともいえるのが、国内外の主要リーダーたちからトランプ氏へのアプローチです。

ゼレンスキー氏からの提案で実現した電話協議会談。習近平氏からの心のこもったお見舞いの手紙。さらには、イーロン・マスク氏ら米IT企業の大物たちとの会談。シリコンバレー企業からの巨額な選挙援助。

これらの動きから、共和党大会以降さらに強まる『驚愕のツーペアー、トランプ&バンス』への風向きを感じ取れます。

生成AI、電気自動車、新エネルギー、データ解析、資産暗号など、アメリカをさらに牽引する主流産業。現バイデン政権は、それらの産業を規制しテック会社の買収などを制御・阻止してきた背景があります。

それに反発する姿勢として、シリコンバレー近郊(リベラル派中心)の政治と思想の微妙な動きが、ここにきて表面化している様子です。

一方のハリス氏。現大統領と同じ方針で進んで行くということですが、まずは民主党内からの過半数支持票を集めることが次のステップ。

同時に、一日も早くキャンペーン開始。具体策や方針を国民に発表することで、自らのリーダー能力をアピールしていく。想像を絶するような試練が待ち受けていることは確かです。

「バイデン氏よりハリス氏の方が、打ち負かすのは簡単だ!」21日SNSの更新でトランプ節が炸裂。

民主党の選挙対策本部は、「党員・国民が一丸となって進む道は、なに一つ変わっていない。民主主義の名のもとに、トランプを倒すために前進するのみだ!」と強調します。

11月の本選挙までの4か月間。経済大国第一位の未来、さらには世界全体の運命を左右する激動の時期。

歴史に新たな章が刻まれる瞬間は、まさに目前に迫っています。

次回は、今回の記事をさらに深堀り。トランプ氏が起用した白人弱者貧困層出身のバンス氏。彼らを支持する米国の荒んだ地域・貧困層のリアル』と『現代日本社会との共通の問題点』とは何かに迫ります。
バンス氏回顧録の「ヒルビリー・エレジー」から見えるすさまじいリアルなアメリカ。
トランプのきわどい戦略のひとつといわれる、副大統領候補の妻の存在など。
続・特別版として、8月初頭掲載です!


記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。
 

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著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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