最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
【最新予測】2024年に迫る⁉ ポートランド市場の3つのポイント。物価高の先読みに迫る!
|ポートランドブームで人口急増 ~ コロナ後、2023年の違いとは?
約10年前、ポートランドブームが勃発し、他州から多くの人々が引き寄せられ、人口増加と共に不動産価格が高騰しました。
「2015年から2019年までのブーム期間では、一戸建て住宅の平均販売価格は、約30%上昇。しかしその後、コロナの影響で働き方や生活様式が変わって、不動産市場も変動。
現在でも、売り手市場は続いており。具体的には、2021年から2023年にかけて緩やかな3%の上昇となっています。
低金利とリモートワークの増加により、人々はより広い住居を求めて移動している。そんな現状があります。」
この状況を丁寧な温かな言葉で説明してくれたのは、ポートランド地区で不動産業を営むシデルさんです。ホノルル出身の日系4世で、不動産大手社のWindermereリアルターとして、住宅に特化した売買と投資を請け負っています。
シデルさんは、現在のインフレの和らぎから2024年には金利が引き続き低下し、市場が再び活気づくと期待されている一方で、世界の不安定な情勢からみても、来年の市場変動を予測するのは難しいと指摘しています。
話はポートランドの不動産から、米国不動産業界の違いに及びます。
「日米の不動産業界には違いがあります。米国50州は異なる規制や取引要件を持ち、不動産ライセンスは取得した州でのみ有効です。
例えば、オレゴン州では不動産業に従事するためには150時間の事前ライセンスコースを修了し、試験に合格する必要があります。初回合格率は約60%で、転職組である私も努力の甲斐あって、厳しい要件をクリアし不動産業界での活動を開始できた時には安堵しました。」
実は、シデルさんのお父さんはハワイの仏教の僧侶(お坊さん)。その様な生活環境から、幼少のころから日本の文化に触れて育ちました。小学生時代から放課後には熱心に日本語クラスに通い、大学では日本留学も経験。さらにその後は、文科省のプログラムを通じて埼玉県庁国際部で国際交流員として活躍。
これらの豊かな経験から、日本のサービスとサポートの重要性を深く理解していったと話します。
シデルさんの信頼性と真摯な姿勢は、まさに日本の心を深く理解し、愛しているからこそ生まれるもの。多くの人々が、その真摯な姿勢と専門的なスキルに頼っているのは、信頼性が明確に感じられるからだと感じます。
|2024年の不動産市場と地域社会の展望
2023年ももうすぐ終わり。現在の不安定な世界情勢を考慮しつつ、次年の市場変動を予測することは容易ではありません。
そこで、不動産のプロとして、今年の振り返りと2024年の見通しを伺ってみました。
「2023年は、金利の上昇と不動産不足が話題で、一部の人たちはちょっと様子見状態。でも、実際には市場は元気でした。金利が上がったといって、急に慌てることもなく取引は着実に進みました。
2024年の見通しとして、金利は下がる見込みです。市場の行方は不明確ですが、家を買おうと思っている人は、年始からの情報をキャッチしておくことが重要なカギになります。」とシデルさん。
さらに、著者が複数のエコノミストの見解を総合すると、以下のような3つのポイントが浮き彫りに。
2024年のオレゴン州経済に対する3つの見通し
1.経済予測 | 緩やかな成長を予測し、持続可能な進化。
2.雇用 | 低い失業率。成長が期待される一方で、労働力供給には課題が生じる可能性あり。
3.労働力 | 若者雇用率の低調は続くため、柔軟性を持った雇用政策が必要。IT、財務、エンジニアリング分野は引き続き需要が高い。
まとめ | 持続可能な経済への移行を進め、金利や税金の変動にも注意しつつ、しっかりとした基盤に向けて進化している。
最後に、日本の不動産業界では一般ではないシステムについてシデルさんが教えてくれました。
「Windermere不動産では、全ての取引完了時にエージェント手数料の一部を基金に寄付するプログラムがあります。この基金は、低所得者や家のない家族へのサポートに活用され、私たちのエージェントたちは積極的に地域社会に貢献しています。
企業が積極的な貢献を行うことは、共助の健全な形であり、現代のビジネスが社会に良い影響を与えるための不可欠な手段と深く信じています。」
2023年は、AIやAGIなどのテクノロジーの進化、デジタル化の波に乗り、新しい時代への自然な前進がすでに急速に進んだ年。
そこを土台として、2024年には更なるサステナビリティと地域社会への深い関与が重要視される。そしてこれが、ビジネスや行政における真の価値を引き出す要因になる。そんな発言を多方で耳にします。
『先見の明と柔軟な対応』。これが新たな可能性を切り拓く原動力となると著者は確信しています。
次回は、2月の掲載! 新年度初となる記事は、【特別企画『2024年ポートランドの町・人。成長をけん引する、取り組み・もの・コトとは?』をコンセプトに。特別ゲストへの初インタビュー企画をお届けいたします。 2024年2月末掲載です!
2023年、私が代表を務めるPDX Coordinator, LLCは20周年を迎えました。日本とオレゴン州間のビジネス業務を通して、謙虚な心持ちで地域社会へのはたらきを続けてまいります。
さらに、2024年からは新たな務めとして、『モルトノーマ郡・裁判所』任命の日本コミュニティー代表としての特命もスタート。
また、『バーンサイド橋の耐震工事』も引き続き、コミュニティー代表としてプロジェクトの進捗・情報を共有してまいります。
『最新ポートランド・オレゴン通信~現地が語るSDGsと多様性』も4年目に突入。皆さまの温かなご支援と共に、引き続きご愛読いただければ幸いです。
2024年が皆さまにとって穏やかで希望に満ちた一年となりますようにと、このポートランドの地よりお祈り申し上げます。
著者プロフィール
- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)