最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
ポートランド流『ポジティブ消費』お茶の融合で生まれるウエルネス - 全米コーヒーの町に新たな息吹
|心と体の癒しを味わう、セラピー型消費との共鳴
ポートランド・ティー・カンパニーのセレクションは約130種類。独自のブレンド(ストレート、煎茶、抹茶、中国茶、チャイ、ヤベ、ハーブ、ルイボスなど)は特許取得済みで、そのバリエーションは無限大。
さらに、ナイトロ・アイスティーやスパークリング・アイスティーなどのボトル商品も展開しています。
まだお茶の楽しみを知らないオレゴンの人々が、なぜリピーターになるのか。その理由がここにあります。
「北米で人気の高い日本製の抹茶と煎茶。大好きな日本文化を尊重しながら、ユニークでおいしいブレンドにも力を入れています。
例えば、ストロベリー煎茶。洋梨抹茶。さらには、色が美しいWカップリングの煎茶&オレゴン州ベリーのスパークリングティーなど。でもなんていっても、ポートランド近郊の人はティー・ラテ系が好きなようです。
オリジナルブレンドに力を入れる理由は、お茶の新しい楽しみ方を人々に知ってもらいたい。そんなシンプルな願いからなのです。」
特に注目すべきメニューのセレクションが、『オーガニック・アポセカリー』。
直訳すると、オーガニックな薬剤師!?
『サプリメント剤の代わりに、おいしく、消化も良く、心も身体もよろこぶものを取り入れて。ウエルネスな日々を。』そうメニューに書かれています。
北米でも、というよりカフェのメニューとしても聞きなれないこの表現。メニューにあえて取り入れた理由を聞くと、こう説明します。
「ポートランドでティーブランドを始めた際、今までの文化とは違う新しい雰囲気や考え方をお届けしたいと思ったのです。
オレゴンの住民は自然とオーガニックに対する興味が強く、それが自然療法やハーブ医学への好奇心につながっています。ここに住む多くの人々がこれらの知識を共有し、それが健康と美味しい味わいを大切にする理由の一部となっています。」
『オーガニック・アポセカリー』のセレクションの中でも人気があるティー。
それは、苦みとすっきりとした味わいで身体にクリーンなエネルギーをもたらす、エクアドル産のガユーサ。
抗酸化・免疫強化に効果的な穏やかな味わいとリラックス効果がある、インド産のホーリーバジル。
その他にも、店内のカウンターではその日の体調や気分に合わせたティーをお勧めすると話します。
これこそ、著者が『ポートランド流・セラピー型消費』と名付けた、ポジティブな体験を提供するエッセンスなのです。
ポートランドのティー文化が特筆される理由。
それは、ウエルネスへのこだわりを感じさせるセラピー型消費の心地よいアプローチ。心と身体、そして脳への優しい効能が調和し、優しいつながりを紡いでいるから。
マインドフルネスを感じながら、サプリの代わりに美味しくて消化の良いものを身体に取り入れること。それこそが、ポートランドらしいウエルネスの象徴と言えるのでしょう。
ポートランドのティー・ビジネスから覗く、心地よいリラックスとウエルネスへの真摯な探求心。
このまちが紡ぐ独自の文化は、新しい時代の扉を開く『キー・キーパー』(鍵の番人・鍵をにぎる人)の存在のように思えます。
ウエルネスの深い旅は、自分との対話を通してマインドフルネスな体験へと繋がります。そこから得る知識と癒しは、急速に進む現代の変容に寄り添い、新しい視点を開いていくのではないでしょうか。
もしかすると、あなた自身と向き合うための新たな一歩を踏み出すため。ちょうど良い時期かもしれませんね。
さて、心が軽くなるような、ポジティブなお買い物に出かけてみましょうか。
今年最後となる次回のテーマは~
年末特集!『2023年を振り返って~不動産からみるポートランド』です!不動産・家賃高騰、そして物価高による生活への影響。これは日本だけの課題ではありません。不動産から見える経済、未来へのヒント?若者や生活弱者の賃貸あるある? 不動産から浮かび上がる町の息吹や生活のリアルな一端とは。
どこも報道しなかった最新のポートランドの生活事情。年末特別企画は、12月中旬掲載です。
著者プロフィール
- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)