最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
【スペシャル企画】初!FBI 州トップインタビュー 『ポートランドでの最新動向、その働きに迫る!』
|「我々は真実を追求し、感情に縛られることなく捜査を行うのみ」(FBI本部トップ、クリストファー・レイ長官)
現在の米国の主要都市における状況の流れ。それは、ブラックライブズマター(BLM)⇒ アジアンヘイト ⇒ コロナ ⇒ そして現在の物価高。
その結果、町の安全と市民の生活には劇的な変化が生じています。この状況は、ポートランド市とその周辺地域においても同様です。
「確かに、ポートランド市での犯罪増加は現実です。同様に、コロナ前後に発生している犯罪に対してFBIが果たす役割はとても大きい。
しかしながら、犯罪の発生率は以前よりも上昇している状況。このため、市は問題に対処するために600万ドルの警察力強化費を投じており、さらに非営利団体からの援助金も加えて対策の強化を図っています。」
では、『支局長としての視点と個人的な感情を総合して、どのようにお考えですか?』
著者が率直に質問すると、心を込めた返答が返ってきました。
「精神医療、ホームレス問題、薬物中毒、凶悪犯罪など。他の都市同様、私たちの地域社会はさまざまな課題に直面しています。
これらの課題へのアプローチに対して、かつては分散していた時期もありました。しかし現在では、市や地域の指導者たちが連携し合い、これらの問題に積極的に取り組んでいる。
この進展は素晴らしいもので、私たちが共通の目標に向かって団結協力して、努力していることを強く感じ取ることができます。」
実は、このインタビューとほぼ同じ時期。在ポートランド総領事が、ホームレスの若い女性によって突き飛ばされるという、痛ましい出来事が著者の耳に入ってきました。
この残念な犯罪について、『多くの日系・アジア系市民は不安を抱えています。そんな読者にメッセージをいただけないでしょうか?』
この直球のような質問に熟考し、誠実にしっかりとした口調でラムジィー支局長が答えます。
「職務上の理由から詳細を述べることが難しいのですが、事件発生以来、FBIはポートランド市警と協力し徹底的な捜査を続行しています。
私たちは市民の安全を第一に考え、犯罪を根絶し正義と公正を実現する。そのために、最善を尽くし続ける使命を担っています。
さらに、こうした許されない悪質な行為は、被害者への攻撃だけではありません。コミュニティ全体に対する脅しや威圧を引き起こすのです。
憎悪や人種差別が漂う場所など、この世界に本来存在すべきでない。だれもが自身の人種、外見、生い立ち、宗教などのアイデンティティを理由に、暴力の標的にされることは絶対にあってはなりません。
そのため、憎悪犯罪が発生した後だけでなく、未然に行動を防ぐためには情報提供が重要です。
だからこそ、どんな時でも恐れずに声を上げてほしいのです。
市民全体でこの意識を共有することで、悪質な犯罪を未然に防ぐ力を高められます。
さらに、ここで重要なポイント。
それは、もし犯罪の被害に遭った場合。FBIは、あなたの米国在留資格のステータスに関わらず 常にあなたをサポートする意向だということです。
常に、より強化された体制で加害者を追求し、その責任を問うための取り組みを積極的に展開していきます。」
※ 詳細な報告方法については、記事の最後に記載しています。ご参照ください。
| 安心して住める町づくりの基本的な原則と忠告
インタビューも終盤に差し掛かり。そこで思い切って、『市民にとって住みやすい町にするための鍵は、何だと思いますか?』と尋ねました。
すると支局長は、未来の町づくりにおいて子供たちの健全な成長を支える。そのためにも、社会的な課題への日々の取り組みが不可欠であると言います。
それに加えて、この課題に取り組む際には地域全体で団結し、協力することが非常に重要であることも強調します。
さらにここで、大胆かつ率直に、現在の深刻な問題を明確に指摘する支局長。
「ストレートに言います。今の米国の地域社会において、子供たちや一般市民にとって最も深刻な脅威は『麻薬』です。
その中でも、中毒性が強く命にかかわる危険性が高い麻薬。その一つが、フェンタニル(合成オピオイド)。フェンタニルは他の薬物と混ぜられ。比較的容易に大量に製造されることから、多様な形態で市場に広く出回っています。
麻薬密売組織は、さまざまな色、大きさ、形・形態に変えて売りさばいています。さらに、供給を増やすために備蓄数を拡大している。こうした醜い現実があります。
さらに、最近ではソーシャルメディアを通じて、若いユーザーを標的にした麻薬密売人が急増化。
実際、今日のこの類の薬物の蔓延は、私たち法的機関が過去に経験したことのないレベルにまで達しています。
路上で手軽に入手可能。そんな低価格の薬物の危険性が高まっている現実。ですから、FBIと提携するパートナーは、組織の追跡と壊滅に向けてさらなる不断の努力を続けるのです。」
日本人としては、通常は麻薬問題が主に海外の出来事として捉えられがち。しかし、現実はまったく異なり、今日の日本国内でも麻薬乱用は非常に深刻な課題に。
特に近年、若者たちを中心にした薬物乱用についてのニュースを頻繁に目にする機会が増えています。
日本政府広報によれば、20歳未満の麻薬使用率が2017年の36.4%から2022年には52.1%へ増加。特に20歳未満の年齢層での乱用が、顕著に広がっていることが指摘されている状況。
同調査によれば、そのきっかけは「好奇心・興味本位」が最も多く。その次に「ノーと言えなかった」「ストレス発散」「多幸感」といった理由が続きます。
こうした事実からも、日本を含む世界中で、すでに深刻な問題として広がっている実態が明確に浮かび上がっています。
最後に、これまで語ってきた重要なメッセージを基に、ラムジィー支局長は温かな口調で力強く次のように締めくくりました。
「 FBIは、あなたの生活を支援するため、地域社会の安全を守るために日々働いています。
米国内で犯罪の被害に遭った(と思われる)方は、ためらうことなく FBI(1-800-CALL-FBI)に電話。または、tips.fbi.govからご報告ください。
又、オレゴン州内での情報は、オレゴン・ポートランドFBI支局 (503) 224-4181 へ直接電話。または、tips.fbi.gov.上のフォームから連絡をしてください。」
より優れた市民生活の実現には、地域、州、国内外の人々、そして世界中の協力が欠かせない。そう感じると同時に、FBIの使命とその奥深い取り組みについて考える機会となりました。
今、世界や地域で進行中のさまざまな出来事に対して、向き合う時が訪れているかもしれません。
あなたは、何を感じましたか。
本編は、FBI本部の協力の元、写真提供と記事内容確認と共に掲載をするに至りました。ご協力くださった多くの関連職員の皆様に感謝をいたします。
尚、FBIの詳細と記事内容に関するお問い合わせは、山本まで直接ご連絡頂ければ幸いです。 当記事に記載した、通報・報告以外の直接のお問い合わせはお控えください。
次回は、米国内で近年、さらに加速をする『建築 デザインビルド方式(設計施工)』に注目。『全米デザインビルド協会への特別インタビュー(日本初!)』を通して、その働きを深堀りします。
今後のアメリカの建設プロジェクトの半分以上をこのデザイン方式が担う、と言われている最新方式。 そこから見える、他種ビジネスへの適応方法も!『最新・エコ環境対応とは』『生成AIを絡めてビジネスを新しい流れに乗せていくのか(乗り遅れないには)』のヒントも満載。
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著者プロフィール
- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)