World Voice

ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

2023年の終わりにミャンマーヤンゴンで何を想うか

日曜日のヤンゴンの大通り:筆者撮影

おはようございます。
今回が(おそらく)今年最後の記事になります。
2023年を振り返ると、忘れもしないの出来事は、自分が歌うキーが突然高くなった事です。
忘れもしない2月19日の事でした(あまりにも嬉しかったのでキチンとメモっています)
二十歳の頃、血を吐くくらい(実際吐いた事はありません)毎日何時間も歌っていて出なかった高い声がこの歳になって出てくる不思議をここミャンマーで感じています。

今年最後という事で特にコレといった事は考えずに書き進めていこうかと思います。
取り留めない文章になることは冒頭の感じからも間違いないとは思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。

ヤンゴンではクリスマスを迎える雰囲気が出来つつあるように見えます。
2020年のコロナの時は全く感じなかった事で21年や22年の時より以前のクリスマスの雰囲気に近いのではないかと感じています。
地方で戦闘が起こっていて、生活もままならない国内難民者が200万人以上いる今のミャンマーでこういた事は不謹慎だと感じる方も多いかもしれません。
私自身はミャンマーに長くいるのもあるからか「自粛すべし」というような考えは全くありませんが、日本人ならそのように考えるのかもなと思う事はあります。

私はやはり根っこではしっかり日本人なので10年そこいらミャンマーにいた程度ではミャンマーの人を全て理解できるとは思っていません。
こういった状況の中でこのヤンゴンという特殊な都市はこれまで以上に日常を取り戻そうと躍起になっているのかもしれません。
しかし、その事と特に日常を取り戻す為に積極的に動いている若者たちが今のミャンマーの状況について何も考えていないのかというと全くそんな事はないのです。

彼ら、彼女ら自身はヤンゴンという現在安全な大都市に住んではいますが、親、兄弟、親族、近しい友人などはまさに今危険地帯にいたり、なんなら戦闘地域ど真ん中にいるという人も珍しくありません。
つまり、完全な他人事ではないのです。
そして彼らはそんな風に困っている人たちに向かって具体的な支援を行っていたりします。
世界の中でも寄付指数が上位なミャンマーです。

様々なところに寄付する事は勿論、率先してボランティア活動にも従事しています。
例え拙くともそれぞれに考え具体的に行動している人は少なくありません。
その上で日常を取り戻すべく生活をしています。
日常でいられるところは多少強引でも日常にしようとしているのかもしれません。

それはこれまで長い歴史の中で日本と違い自由な生き方が出来なかったミャンマーという国の弱さであり、その国で生きていくしかなかったミャンマーの人々の強さなのかもしれないと感じています。

2021年2月のクーデターが始まって少しした時、もうずいぶんと昔に感じますがその時でも私はミャンマー歴7年目に入っていました。
しかし、それなりに理解していたと思った私のミャンマー人像はその後の彼らの行動などをみて崩れさりました。
それは良い事や悪い事というレベルでは無く、自分がいかにミャンマーの事を理解していなかったか、理解が浅かったかという事を思い知った出来事でした。

あれから更に時間が過ぎました。
年が明ければ間もなくクーデターより3年という日が見えてきます。
私はこの間にミャンマーの事をより理解できたのでしょうか?
確実な事は「わかった気になってはいけないという事」
それだけはあの時の反省としてしっかり心に残っています。

未だに自信をもってミャンマーを理解したと言える気はしません。
知ればしる程に奥深く魅力が沢山あるのと同時に闇もまた深い気がしています。
海外に住んだ事のない私が初めての海外生活でミャンマーに来て、そのまま10年目を迎えるとは思ってもいませんでした。
最初は自分の事だけで精一杯でした。
その後次々にチャレンジをしていくもののことごとく失敗し。

コロナが来た時には中々の絶望具合を味わいました。
そしてようやく復活の兆しが見えてきた頃にクーデターです。
ここまで来ると本当にドラマや映画のようで笑ってしまうしかないような状況ではあります。
他人事であれば。
そこからもうすぐ3年。

何の因果で私のようなチャランポランな人間がミャンマーに導かれ、普通では味わえないような様々な経験をこの国でするようになったのか、本当に不思議でなりません。
年が明ければ何か少しはその答えが見えてくるのでしょうか?
更に深いミャンマーの多様性に足を踏み入れていくようなそんな感覚に陥っています。

恐らく一生かかっても味わい尽くすという事はないのだと思いますが、1人の日本人としてこのミャンマーで見聞きしていくことを1人でも多くの人に伝えられたら良いなと思っています。
このように文字で伝える事もそうですが、いちエンターテイナーとしては様々な作品を作って、日本はもちろん、世界にも発信していける事を夢みています。

ミャンマーでエンタメクリエイトする
ではなく
ミャンマーでエンタメクリエイトする
としたのは単純にミャンマーでエンタメを作るぞという意気込みでは無く、ミャンマーで暮らしている中で様々起こるエンタメ的な出来事と共に様々なモノを創っていく(クリエイトする)という想いが込められています。

これから先どこまで続くかは未知数ではありますが、今しばらくお付き合いいただけたら幸いです。
皆様本年もお世話になりました。
良いお年を。

それではまた、来年。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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