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ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

ミャンマー【1027作戦】以降のヤンゴンの様子

ミャンマーの紛争地図:独立系メディア出典

おはようございます。
本日もミャンマーエンターテインメントプロデューサー(たまに言っておかないと自分でも忘れます)新町がヤンゴンからお届けしたいと思います。
今私が住んでいるミャンマー最大都市ヤンゴンにいるとつい忘れがちになってしまいますが、現在ミャンマーは軍事クーデターの真っ最中です。
1000日を超えて未だにその状態は続いています。

まさにその1000日の日に始まった1027作戦以降、国全体としては大きな動きが起きているのですが、それでもここヤンゴンでは一見変わらない日常が続いている状態ではあります。
予めお断りをした上で大いに語りたいと思います。
あくまで私個人の意見がふんだんに盛り込まれた内容になりますのでご理解いただけた上で読み進めていただければと思います。

私がそう考えるに至ったまでのソースなども色々あるのですが、全てを提示すると凄く読むのには煩わしい量になると思うので最小限にしていきたいと思います。
基本は独立系メディアと呼ばれるクーデター以降に国軍によりライセンスを剥奪された後も活動を続けているメディアの情報を基にしています。
国軍側が言っている事などはソースにはしていません。
ただ、何を言っているかは独立系メディアを通してと、日本のメディアなどでも取り上げられたものを参照にはしています。

本題の前にお知らせです。
毎週配信している番組「ミャンマー言いたい砲台ラヂオ」の100回記念企画として有料支援記事を書いております。
MC二人が100回を迎えるに辺りエッセイを書いたものです。
冒頭3000文字程を無料で公開しております。
気に入ったらその後も購入して読んでいただけたら幸いです。

それでは本題に入ります。
まずそもそも1027作戦とはなんぞや?というところからという方も多いと思うので本当に簡単に説明します。
ミャンマーは2021年2月1日から軍事クーデター禍にある訳ですが、1000日に当たる2023年10月27日に東部を拠点とする3つの武装勢力(AA、TNLA、MNDAA)が同胞同盟と銘打って合同作戦で国軍に攻勢をかけました。
クーデター以降最も大きな規模での戦闘が相次ぎ、最も大きな被害を国軍が被ったと認めています。
この動きには国家統一政府NUGも賛同しており、直下のPDF(国民防衛隊)を作戦に加えるなど同調する動きを見せています。

これまでに300以上の国軍の軍事拠点、7つの都市などを奪還したと発表されています。
更にこの動きに合わせるように他の地域でも様々な作戦が立ち上げられ(11月11日にはじまった1111作戦など)国軍に対しての攻勢が全土で強まっています。
この流れで年内にもヤンゴンを含む大都市での戦闘が行われるのではないか?という話や2024年の2月を前に(クーデターから3年を迎える前に)首都ネピドーを奪還するべく最大規模の戦闘が行われるのではないか?などの話が出ていたりするようですが、勿論真偽は全くわかりません。

冒頭でもお伝えした通り、ここヤンゴンにいる分には「本当にそんな事が同じ国で起こっているのか?」と思う位静かです。
しかし、何の変化もないかというとそんな事もありません。
生活上の変化で言えばここ数日対ドルに対してチャットがかなり下がっています。
一気に暴落という程ではないですが、クーデター以降暴落をしたチャットが更に下がるのには経済的にも影響は大きいと思われます。

ガソリンの値段もドンドン上がっています。
そして供給量自体も減ってガソリンスタンドには長蛇の列です。
停電に関して、毎日4時間だったものが数日前に隔日で8時間になりました。
ヤンゴンでもそれなりに大変そうなので地方はもっと大変なのだろうと想像します。

10月27日以降に私の身の回りで起こった事を少し紹介します。
家から1キロのところで爆発騒ぎ
音響爆弾を使った事件という事で死傷者はいませんが久しぶりに近所でこういう事件が起こりました。
犯人などは不明です。

ミャンマー人の友人より夜の自転車移動は辞めるよう言われる
学校などに軍が駐留するようになったのですが、その兵士たちが夜になると近所を徘徊し出歩いている若者などを連行していくそうです。
何か物を運ばせるなど強制労働を科したり適当な罪状を付けてどこかへ連れて行ってしまうそうです。
本当かどうか確認しようもないのですが、そのまま軍に入れられる事もあるそうです。
こういった動きに巻き込まれる可能性があるので夜は自転車で移動しないようにと注意されました。

会社のスタッフから昨日近所で若い人が捕まったらしいという話を聞く
私が住んでいる地域はどちらかといういうとそういう上記で書いたような事件が起こる地域なのかなと思うのですが、近所に住んでいるスタッフからこういう話が出社して最初に話される内容だったりします。

近くで銃撃戦があるとか空爆があるなどの超物騒な話というのはさすがにありませんが、それでも危険水域は1027以前より上がっている気はします。
私はいわゆる紛争地に住んだ経験が無いので(そもそもミャンマー以外の外国に住んだことが無いのですが)わからないのですが、ミャンマー人の皆さんは肝が据わっているのかヤンゴンで起こっている程度の事では冷静さは失いません。
こういうところは凄く頼もしいと思う反面、これが平和しか無かった日本で暮らしていた私たち日本人との違いなのかと思うと複雑な想いがあります。

そしてそんな日本人が肝の据わったミャンマーの人といざという時も同じように落ち着いて行動が出来るのかというと、とても不安が残ります。
1027作戦から一カ月余りの11月29日に外務省が発表する海外危険情報が実に900日以上ぶりに更新されました。
様々なところで危険レベルが最高レベル4の内3に引き上げられました。
ヤンゴンは引き続き2のままです。
妥当な様に思われるかもしれませんが、アメリカなど他の先進国はミャンマー全土を最大レベルの4にしたままです。

発表された内容をよくよく読むと、まだ最大レベルを残しているにしては凄く危険だと書いているようにもみえるのですが、他先進国とは違う独自の判断をしているのが日本政府という事のようです。
この判断が、日本とミャンマーにとって後悔の種とならない事を願います。
少なくとも私としては最大レベルの4だとしてもおかしくないと判断しつつ出来るだけ普通に過ごせる範囲では普通にするという事を心がけたいと思っています。

くれぐれもいざという時にこの国の人々に迷惑にならないように、日本人として振舞っていきたいと思います。
現状の雰囲気がどこまで伝わったか甚だ疑問ではありますが今日はこのくらいにしておこうと思います。
早く、もっと楽しい事だけ書いていける日がくるのが待ち遠しいです。

それでは、また明日。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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