ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々
ミャンマー年末年始「水かけ祭り」期間の裏で起こっている事
ミャンマーエンターテインメントプロデューサーの新町です。
今回は本来、一年で最も国民が盛り上がる時期である「水かけ祭り」の裏側で起こっていた事を皆さんにお伝えしたいと思っています。
私が見聞きしたものは本の一部に過ぎない事なのか、氷山の一角なのか?
それは今回の記事を読んだ皆さんにお任せします。
お知らせをさせてください。
私がたった一人で始めたミャンマーの物売りの子供たちへの小さな支援活動「フラワー&バナナ」
予想を超える沢山の方々にご支援いただいています、本当にありがとうございます。
皆さんのご支援のおかげで予想より早く次の段階へ進む事が出来そうです。
引き続き応援いただけると幸いです。
もう一つお知らせです。
遂に77回を迎えました。
ミャンマー言いたい砲台ラヂオ
毎週地味に、地道に続けております。
ミャンマーに関わりのある日本人二人が言いたい放題している番組です。
是非一度覗いてみてください。
それでは本題に入ります。
実は以前のミャンマー言いたい砲台ラヂオでの配信で
「軍は今年の水かけ祭り、昨年以上に盛り上がった感を出すのに成功する」
という予想を立てていました。
※そのことについて詳しくは是非当時の配信のアーカイブなどを聴いたり放送後記を読んでもらうとわかります。
水かけ祭り後様々な報道が日本のメディアでもなされていたので関心のある方々はそちらも見られたと思います。
私が様子を間近で実感できたのはあくまでヤンゴンに限ってではありますが、実際はその予想以上だったと感じています。
勿論、その見た目(特に軍発表のメディアでの様子)通りが事実ではない事は間違いないとは思っています。
今回はあまり独立系メディア(軍よりメディアライセンスを剥奪されながらも報道を続けているメディア)でも取り上げられていなかったとある祭りの裏側の事をお伝えします。
水かけ祭りの時期が近づいてきたある日、地域の有力者により地元の会社や団体の代表が集められ会議が行われます。
その会議では今年の水かけ祭りでの地域のステージを作る為の様々な事が話し合われます。
全国的に軍が主導して、ミャンマーが平穏を取り戻したかのようにアピールするために使われる事を良しとしない国民は少なくありません。
そんな中、その会議では地域の会社や団体へ寄付の要請が話されます。
これに真っ向からNOを言える人はいません。
少なくともこの会議の場では普通の人間には不可能な事だと思います。
その会議には何故か大きな銃を持った軍人が参加しているからです。
もちろんその銃を使って会議の参加者へ脅しをかけるというような事は一切ありません。
会議は見た目上平和的に進められています。
地域の会社や団体の人々はこうして強制的にステージを作る為の寄付を出す事になります。
勿論この寄付が全てステージを作るお金や、本番でステージを盛り上げる為に使われる事がありません。
かなりの割合でこの地域有力者の懐に入るようです。
その先はいわずもがなかと。
地域の人々はこのようにカツアゲを受けた挙句、そこからステージの運営も強制的に参加させられる羽目になることも想像に難くないと思います。
本心は参加したくないと考えている人などの気持ちはお構いなしです。
こういう話をミャンマーで聞くたびに「人権とは」と考えさせられてしまいます。
先ほど述べた様に軍主導の茶番である平和アピールの為の水かけ祭りは良しとしない人だけではなく、憎悪を持ってその所業を止めようとする人たちもいます。
シンプルに参加者は身の危険に晒されるリスクがあるのです。
今年は水かけ祭りの時期に都市部から地方へ旅行に行く人間がいつもより多かったそうです。
これも軍メディアによれば旅行が盛況で、観光業が潤っているなどとアピールしていましたが、都市部で水かけ祭りの時期にいると危険だからという人も大勢いたのではないでしょうか?
あくまで私の個人的予想です。
さて、そんな中今年のヤンゴンでの水かけ祭りの様子はどうだったか?
各メディアでの報道をじっくりと見比べて判断して欲しいと思うところではありますが、少なくとも昨年よりステージの数が増えたのは間違いありません。
そして、地方では残念ながら死傷者が出るようなステージへの妨害行為があったようです。
現状様々な要素が複雑に絡み合ってのこの事件だとは思いますが、今回私が述べたような事がどの程度こういった事件に影響しているのかということは皆さんも考えてみてもらえたらと思います。
車の中から、すれ違いざまに観たステージの様子ではあるのですが、ステージ上で踊っていた伝統的な踊りを踊ってらっしゃった方々の表情がどこかヤケクソに見えたのはきっと私の気のせいだと思います。
因みにですが、先の有力者たちがこのステージに近づく事はありません。
なぜって?危険ということがよくわかっているからです。
私の拙い知識では確か人間の壁は国際法で禁じられていたなぁということを何故か思い出しました。
ミャンマーで起こった軍によるクーデターから2年と3カ月。
随分と複雑な状況を作り上げてくれたなと思うところです。
散々と恨みつらみを吐くような形になってしまいましたが、それでも私は絶望している訳ではありません。
ただ、現状をミャンマーに関心のある皆さんに正しく知っていただきたいと思い、ごく一部(敢えて言っています)の情報も知っていただければなと思いました。
次回はもう少し前向きな記事を書けたらと思っています。
引き続きよろしくお願い致します。
それではまた明日。
著者プロフィール
- 新町智哉
映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。
Twitter:@tomoyangon
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