ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々
第1回ミャンマー世論調査結果についての考察(MOPR)
皆さんこんにちは。
実は世界の映画祭で受賞経験がある映画プロデューサーの新町です。
バレンタインデーですね。
日本では遂に「自分チョコ」なる動きが出てきたそうで。
自分に対する愛を確認する日。
「そんなアホな」
と思いつつもよくよく考えると大切なことだなと思ったりもしました。
因みにミャンマー(ヤンゴン?)にはホワイトデーという概念はないようです。
2月14日の日に男女両方からプレゼントし合うというのがどうやら正解みたいです。
皆さまよろしければ愛のこもった義理チョコ(記事の感想などのメール)をお待ちしていますのでよろしくお願い致します。
ここヤンゴンでもスーパーの売り場などではチョコレートコーナーが盛り上がりを見せようとしていたのでそれなりにバレンタインの雰囲気はあるのかもしれません。
大変な時ですが、是非カカオポリフェノールで一時でも安らぎを得ていただきたいところです。
そんなこんなではありますが、今回も引き続き世論調査について取り上げていこうと思います。
前回、前々回の記事も合わせてごらんになってください。
過去に回記事埋め込み
一つお知らせをさせてください。
今週もやっています、
「ミャンマー言いたい砲台ラヂオ」
毎週水曜日、日本時間21時(ヤンゴン時間18:30)よりミャンマーについて二人の日本人があれやこれや言いたい放題している番組です。
是非ライブで参加していただきコメントなどしていただけると嬉しいです。
ミャンマーのニュースや現地の情報などをお伝えしています。
放送後記と合わせてどうぞ。
それでは本題です。
ミャンマー国民の真意を知る為に世論調査が行われていないか探したのですが、みつからなかったので私と有志達でミャンマー世論調査機構(MYANMAR Organization for Public Opinion Research)を発足しました。
昨年11月から2カ月の募集期間を終え4000超のデータを集める事に成功し現在速報値として結果を発表しています。
今後更に分析を重ねてその結果も合わせて発表していきたいと考えています。
今日はその中から特に注目の結果をお伝えしたいと思います。
画像などはどんどんシェアしていただけたら幸いです。
先ずはこちら
この結果はかなり以外でした。
アンケートに答えた82.3%が男性だったのです。
ミャンマーの男女比では男性48.2%という数字があります。
(2014年国勢調査よりジェトロ発表資料)
今回は主にFacebookで調査協力を募集したのですが、確かに男性の方がFacebookを多く利用しているというデータがあり、それでも64%ということなので
(少し古いですが、イギリスのデジタルマーケティング会社We Are Social Ltd.による2017年の統計データです)
この偏りは特異的であると言えます。
ここからはあくまで私の経験からくる考察です。
この調査を行うにあたり、予想はしていた事ではありますが、かなりの危険を伴うものであるというアドバイスを沢山いただきました。
それは運営の人間は勿論、アンケートに答える人もです。
軍にとって都合のよろしくない結果が出る事は予想できたことですが、だからこそそんな意見を表明する事は例え匿名の回答であっても不安は大きかったと予想できます。
ましてや我々ミャンマー世論調査機構は国連のような大きな組織でもありませんし、そもそも公的に認定された組織でもありません。
そのようなところに意見を預ける事にはかなりのハードルがあったと思います。
1000000人以上の方へお知らせを届けた上でようやく4000人の答えがいただけたのです。
「ミャンマーは女性が強い」というような話を聞いた事はあるかもしれません。
私もそういう印象はあります。
ですが、今回ここぞという時に身の危険を感じた上で自分の強い想いを答えてくれたのが、いざという時に軍から追われる事も覚悟をした上で答えてくれたのが男性だったのかもしれません。
(あくまでも個人的な考察である事を重ねてお伝えしておきます)
今回の調査は選択制の設問が36問、自由記述が14問の計50問からなります。
ですが、選択制の設問36問の内、30問には選んでいただいた答えの理由も書いてもらえる欄を用意していました。
結果、沢山の方が選択の答えに至る理由など多くの意見を書いていただけたことになり、多種多様の意見を集める事ができました。
こちらは本当に膨大な量のデータになるので今後時間をかけて集計分析した上で発表していきたいと思っています。
今しばらくお待ちください。
今回はもう一つ、このデータについて述べたいと思います。
NUGとはミャンマー国家統一政府でNational Unity Governmentの略です。
2020年総選挙選ばれた国会議員の中でクーデター後に軍からの拘束を逃れた人たちで結成されたCRPH(連邦議会代表委員会)によって設立されました。
国軍の解体と少数民族との対立を取りまとめて国家を統一するのが使命です。
ミャンマーにおいて圧倒的多数(約7割)であるビルマ族だけでは無くその他の少数民族からも代表者がいるのが特徴的です。
そのNUGを日本含め、国際社会で正式な政府として承認して欲しいという意見が84.9%もあるのです。
この現実は日本も世界も重く受け止めていかないといけないと思います。
同時にこのことをミャンマー国民にも大きく知らしめたいと思います。
ミャンマーではほぼ全てのメディアが軍からライセンスを剥奪され、活動の停止を迫られました、それでも活動を続け、事務所を襲撃されたメディアもありました。
そんな中独立系メディアとして海外から、あるいは国内の森などに潜伏しながら発信しています。
それでも軍は自前のメディアで自分たちこそが支持されているかのように発信しています。
当然多くの国民はそんな事を信じてはいませんが、それでも皆が本当はどういう思いで日々生活しているのかというのはわかりづらいのが現実です。
言論統制、表現の自由の抑圧というのは本当に恐ろしいものだなと思います。
ですから、このような結果を伝える事はより国民の連帯を深めるものだと信じています。
という事で今回はミャンマー世論調査について更に深く考察を含めて述べさせていただきました。
引き続き調査結果については発信していきたいと思います。
ご注目ください。
それではまた明日。
著者プロフィール
- 新町智哉
映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。
Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan