ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々
続:第1回ミャンマー世論調査結果報告【ミャンマー世論調査機構(MOPR)】
皆さんこんにちは。
ミャンタメP新町です。
ミャンマーでMAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. という会社を経営しております。
最近はミャンマーで映画を撮る為の企画と、オリジナルブレンドハーブティーの販売の準備と、とある絵本のミャンマー語版の出版準備をしております。
ミャンマーの情勢も相まってエンタメから離れた事についての発信が多くなっている身ではありますが、改めて自分はエンタメ大好き人間だなと思っています。
という事で今回も政治的な発言満載かもしれませんが、お付き合いください。
昨日に引き続きミャンマー世論調査についてのお話です。
まだ読んでいない方は先にそちらを読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
本題の前に一つお知らせです。
毎週水曜日、clubhouseそして私が運営するFBページにて番組を配信しております。
その名もミャンマー言いたい砲台ラヂオ。
ヤンゴン放送局から私、新町智哉と日本から大学院生、石川航さんとでお送りしております。
ミャンマーに関して言いたい放題する番組です。
放送後記と合わせてチェックしていただけると幸いです。
それでは本題です。
まずはこのグラフをご覧ください。
ミャンマーの現状の情勢について、実際にミャンマーの人々はどう思っているのか?
ミャンマーの軍への非難や、支援の活動をしている人を見かけたりするが、その人たちが言っているのが本当に国民の総意なのかどうか?
本当は軍が一定数支持されているかのような様々な憶測(もはや憶測と言い切ります)が飛び交ったりもしていたのですが、この結果が全てだと思っています。
この設問で特にポイントなのは
正当だとは思わないが支持している3.9%
不当だが受け入れている4.5%
という結果です。
ここに今のミャンマーの異常さが表れているのではないでしょうか?
日本では考えられない事だと思います。
想像も出来ないかもしれませんが、長く軍による抑圧を受けてきたミャンマーの人々の間ではそういった考えも存在するという事も知っていただけたらと思います。
そんな中でも
不当で受け入れられない86.6%
という結果は希望の持てる結果だなと思います。
どんなにミャンマーの情勢が落ち着いたように見えても、それは国民が軍に従っているという事では無いという事を今一度意識しないといけないなと思います。
ミャンマー国民同士でもまだ気づいていないかもしれないこの事は声を大にして伝えていきたいと思っています。
そしてもう一つ、こちらも大きなポイントだと思います。
2月1日に軍が非常事態宣言を憲法違反しているにもかかわらず合憲だと強弁し延長した訳ですが、そうする事によって8月に予定されていた選挙も延期されるという事が予想されます。
選挙をする→その結果をもって軍が新しい政府に権限を渡す→民主化が進む
これが良い方向性だと思われがちなのですが、ここは非常に注意しなければいけません。
そのようなシンプルな方向性でうまくいくと思うのであればこの調査結果のように大多数の国民が選挙自体に反対する事はありません。
ここで改めて設問をよく見て欲しいのですが、
「2023年に総選挙を行おうとしている軍評議会の方針をどう思いますか。」
もし、選挙を行おうとしているのが国連であったり、「日本が主導になって」という形であればこんなに反対は出なかったことと予想は付きます。
自分たちが有利になるように作りこんだ2008年憲法すら守らずクーデターを起こした軍が主導する選挙がまともであるハズがないというのがミャンマー国民の総意です。
選挙をした方が良いという考えは一定理解出来ます。
ですが、それならばそもそも2020年の選挙で選ばれた人たちを戻すべきなのです。
話はそれからでしょう。
その結果改めて選挙をする必要があるという結論が正しい国民の代表たる議会で出たのならすれば良いのです。
複雑化してしまっているミャンマーの情勢ではありますが、このポイントはしっかりおさえていかなければいけない事だと思います。
これは2016年からのNLD政権の評価です。
これをみると決して文句が無い大絶賛では無かったことが容易にわかると思います。
とてもリアルな結果です。
その事を受けての次の総選挙が2020年のものです。
NLDへ投票した人が86.9%という結果。
これは実際の選挙結果(2020年選挙実施議席の83.2%)とも相関がある数字になっています。
つまり、NLD政権の実際の施政を満点で無かったと評価する人が過半数の中でも多くの人が再びNLDに期待を寄せ投票したのです。
実際2015年の選挙の時より議席数は伸びています。
これをたかだが一組織であるミャンマー国軍が反故にして良い理由などどこにも無かった訳ですが、その事に対する国民の怒りがこの今回の世論調査結果には出ている訳です。
改めて皆さんにも理解していただきたい事であります。
まだまだ調査結果について伝えたい事は沢山あります。
引き続き次回もそれぞれの結果について述べていきたいと思います。
それではまた明日。
著者プロフィール
- 新町智哉
映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。
Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
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