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南米街角クラブ

島田愛加|ブラジル/ペルー

ワクチン接種して私は半分だけワニになった

|ワクチン接種と共にSNS拡散されるハッシュタグたち

このサンパウロ州のワクチン接種だが、実はもう一つのストーリーがある。
ドリア州知事はボウソナロ氏と犬猿の仲であり、特にこのワクチン騒動では両方の関係は悪化。
そんなドリア氏は次期大統領選挙に立候補するだろうと言われており、このワクチン接種でのリーダーシップを国民に見せつけたいのだろうとも言われている。

接種時の様子や、接種後に受け取るかっこいいサンパウロ州オリジナルの接種カードを手にセルフィー写真をFacebookやInstagramなどにアップする人たちは、#vivaosus(ブラジルの医療システムへの敬意)や、#forabolsonaroというボウソナロ大統領の辞任を求めるハッシュタグをつけている。最近このハッシュタグはエスカレートし、#foragenocidaと、大統領を大量虐殺を命じた人と表すものも使われている。
ハッシュタグだけでなく、プラカードやTシャツなどを使用し自分なりの方法でメッセージを伝えており、こういった訴えはSNS上だけには留まらない。実際、今月もパウリスタ大通りで大規模なデモ行進が行われている。

そんな中、鼻息の荒いドリア氏は7月15日に自身のTwitterにて再びコロナに感染したことを発表。(最初の感染はワクチン接種前で陽性無症状) 症状は軽く自宅にて公務を続けることにし、コロナバックを打ったから重症にならなくて済んでいることをしっかりアピールした。

ドリア氏の頑張りも認めてあげたいところだが、反ボウソナロの多くは労働者党のルーラに投票するするのではと予想されており、いずれにせよ来年の大統領選でボウソナロ氏の再選は厳しそうだ。

|なぜ私はワニになったのか?

最後に、なぜ私が半分ワニになったのか。その経緯をお話ししたい。
2020年12月17日にボウソナロ大統領は、 「ファイザーの契約書に『もし副作用で何かあっても責任は負いません』と書かれている。もし接種後にワニになったとしても(ワクチンとは)関係ないといっているんだ。」 と発言した。
これは国民の反感を買うと共に、ブラジルならではのインターネットミームとして話題に。

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ブラジルのサイト、#MUSEUdeMEMES(ミーム美術館)に掲載されたワクチンとワニに関するミームたち(画像キャプチャ)

それ以降、「ワニになる」はワクチンに反対する大統領にむけた風刺的フレーズとなった。
私は一回目の接種をしたので、半分だけワニになったというわけだ。

こんな風にブラジルのワクチン接種の裏側には政治的な背景も関係している。
果たしてボウソナロ氏は息子の予言通り一番最後にワクチン接種するブラジル人となるのだろうか。

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サン・ジョゼ・ドス・カンポスの教師、Eliana Ariceはワニの衣装で第一回目のワクチン接種を受けた。「衣装を着たのは抗議ではなく、全ての人に早くワクチンが接種できるように訴えるためです。」(photo by G1)
 

Profile

著者プロフィール
島田愛加

音楽家。ボサノヴァに心奪われ2014年よりサンパウロ州在住。同州立タトゥイ音楽院ブラジル音楽/Jazz科卒業。在学中に出会った南米各国からの留学生の影響で、今ではすっかり南米の虜に。ブラジルを中心に街角で起こっている出来事をありのままにお伝えします。2020年1月から11月までプロジェクトのためペルー共和国の首都リマに滞在。

Webサイト:https://lit.link/aikashimada

Twitter: @aika_shimada

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