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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

今年のスペイン聖週間は荒れ模様 肩を落とす信者たち

©️Shutterstock -BearFotos

去年のブログでも紹介したように、毎年3月の終わりにスペインではセマナサンタ(聖週間)と呼ばれる宗教的な行事が行われます。キリストの復活を祝うと言う点では欧米のイースターと共通していますが、カラフルなうさぎとイースターエッグのようなポップな雰囲気とは異なり、磔にされたイエスの像を乗せた山車が静寂に包まれた街を練り歩くと言うなんとも宗教味の強い行事となっています。(参考:陽気なスペインが静寂に包まれる 今年のセマナサンタは大盛況

今年の聖週間の祝日は3月28日(木)と29日(金)。しかし学校などの教育機関は3月22日から4月1日までが休みとなり、毎年この春休みを利用して多くのスペイン人が旅行を楽しみます。特に盛大にセマナサンタが祝われる南部アンダルシア地方は毎年この時期人気な観光スポットとなり賑わいを見せますが、今年のセマナサンタは例年より盛り上がりに欠けるものとなってしまったようです。

 

巨大低気圧ネルソン

セマナサンタのスタートと同時にスペインに上陸した巨大低気圧ネルソン。それまでの春らしいポカポカした気候とは打って変わって、また冬のような寒さがセマナサンタ期間中続きました。低気圧ネルソンの影響は気温だけに限りません。これによって異常なほどの雨が1週間に渡って全国的に降り続き、さらに各地で木がなぎ倒されるほどの強風が吹き荒れ、山間部では大雪が降って通行止めになるなど、今年のセマナサンタは文字通り大荒れの天気となってしまったのです。

この連休を利用して旅行をする予定だった人の中には、旅行をキャンセルして家に留まることを決めた人も少なくありません。また予定通り旅行に出かけた人の中にも、強風のため新幹線や飛行機に遅延やキャンセルが発生し、計画が大幅にくるってしまった人も大勢いたようです。スペイン人の間では「セマナサンタの期間中は毎年なぜか天気が悪くなる」と以前から言われてはいるものの、桁違いの荒れ模様に地元の人々は驚きを隠せなかったようです。

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©️YouTube -SEMANA SANTA | La lluvia obliga a suspender procesiones en ciudades como Málaga o Sevilla | EL PAÍS

 

悔し涙を流す人も

セマナサンタにかかせないのはプロセシオンと呼ばれるキリストの受難シーンが再現された山車を担いで街中を練り歩くイベント。各教会が所有している山車を信者たちが担いでぐるっと街を一周するのですが、1000キロを超えるものもあると言われているほど重たい山車を担ぐ信者たちは、この日のために練習に練習を重ね本番に挑むのです。しかしあいにくの天気のため、各地でこのプロセシオンが中止になり、このイベントに参加する予定だった信者たちが涙を流して仲間たちと抱き合う姿が各地元ニュースで報道されました。キリストの苦しみを再現、再確認し、常に身を守ってくれている神の存在に感謝するために行われるこのプロセシオン。心待ちにしていた信者にとって、この中止は相当ショックだったようです。

さらに落胆したのはプロセシオンの参加者だけに限りません。毎年この時期大賑わいのはずのアンダルシア地方では、雨によって観光客が激減。スペインの中で最も盛大にセマナサンタが祝われる街の一つであるセビージャでは、観光客の数が昨年の50%にまで減少し、満員を見込んでいたホテルも稼働率が76%に留まりました。毎年この時期は稼ぎ時だと気合を入れて備えていた飲食業やホテル業の関係者にとって、この雨は大きな痛手となったことでしょう。

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プロセシオン中止を受けて涙する人々©️YouTube - La lluvia obliga a suspender la Madrugá de Sevilla

  

恵みの雨

多くの関係者をガッカリさせた低気圧ネルソンがもたらした悪天候。しかし悪い事ばかりではなさそうです。数年前から歴史的な干ばつに悩まされているスペインにとって、この1週間降り続いた雨は「恵みの雨」とも言えるものとなりました。

国内で最も干ばつが深刻とされているのは、アンダルシア地方とカタルーニャ地方。しかしアンダルシアの州都セビージャでは、これらの雨でダムの水量が満タン時の60%を超えるダムも現れるようになったのです。一部のメディアによると、セビージャで今年降った雨の量はすでに昨年1年間に降った雨の量とほぼ同じだと言います。スペイン全土が水で潤うのにはまだ十分とは言えないにしろ、水不足により生活用水の使用が制限されたり、ダムの水位が低下したことによりダムの底から城やら村やらが出現していたような状態が続いていたことを考えると、この低気圧ネルソンの上陸は悪いことばかりではなかったのではないでしょうか。

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©️YouTube -Las lluvias dejan más de mil hm3 en los embalses del Guadalquivir y se sitúan en el 43%
 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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