4月25日から5月1日の期間、コロンビアで１番のハンバーガーを決める熱い大会 Burger Master（現地発音でブルゲルマステル）が開催されました。

Burger Masterが初めて開催されたのは2016年。パンデミックの影響で2019年以降は開催は休止されていましたが、コロナウイルスの感染者も減りワクチンが普及した今年は例年通り開催されることになりました。

過去最大である20都市で200店以上が参加した今回の大会。前回の2019年のBurger Masterでは1週間で200万個以上のハンバーガーが売られ、ハンバーガーだけで約280億万ペソ(920万円)ものお金が動いたと言われています。今年のBurger Masterは、今までのように人々が家族や友人と共に様々な店のハンバーガーの食べ歩きを楽しむためのイベントというだけでなく、コロナで売り上げが落ち込んだローカルの飲食店を盛り上げる役割も期待されました。

審査員は消費者

Burger Masterに参加するお店は、期間中自慢のクラフトバーガーを全店統一して14,000ペソ(460円)で販売します。ハンバーガーの材料にはコロンビアを連想させる食材を最低２種類入れなくてはいけません。

この大会でユニークなのはその審査方法。一番多くハンバーガーを売ったお店が優勝するわけでも、三ツ星レストランのシェフが審査員として順位をつける訳ではありません。審査員は実際に店に足を運んでハンバーガーを食べた消費者たち。SNSでハッシュタグ#Bugermastercoをつけ、期間中に食べたハンバーガーで美味しかったお店トップ５を写真付きで投稿（投票）します。5月15日に集計をし、のちに票を集めた順にランキングが発表されるシステムになっているのです。

通常800円から1200円くらいで販売されているハンバーガーを半額程度で食べれるBurger Masterは、絶好の食べ歩きのチャンス。期間中、大会に参加したハンバーガーショップの前に長蛇の列が絶えることはありませんでした。

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「これはハンバーガーを売るイベントではない」

この大会を主催しているのはトゥリオ・スロアガ。14歳から俳優や歌手、テレビの司会者などで芸能活動を始めたトゥリオですが、近年ではインスタグラムで200万人のフォロワーを持つインフルエンサーとして有名です(@tuliorecomienda) 。彼がメインとしているコンテンツはローカルの美味しいレストランや屋台を紹介するというもので、彼が訪れたお店は「トゥリオが訪れた店」としてたちまち有名になるのです。Burger Masterは彼が日頃から紹介しているような小さなビジネスを応援したいという気持ちでスタートしました。

トゥリオはBlu Radioのインタビューで、とあるハンバーガーショップのエピソードを語っています。ある日一人のハンバーガーショップのオーナーが「うちの最後のハンバーガーを食べて欲しい」とトゥリオに連絡を入れてきました。当時そのお店は破綻寸前。スタッフを雇い続けることも困難になったので、店を閉める前に最後のハンバーガーをトゥリオに食べて欲しいと頼んできたのでした。トゥリオはその店に足を運び、オーナーにBurger Masterに出場するように勧めます。そのハンバーガーショップはBurger Master期間中行列が絶えることのないほどの人気となり、その年のBurger Masterで入賞。知名度はどんどん膨れ上がり、今や７店舗を展開する有名ハンバーガーショップ店への成長したのでした。

「ハンバーガーショップはたくさんあるのにそれを宣伝する術を彼らは持っていないんだ。Burger Masterはハンバーガーを売るイベントじゃない。ハンバーガーを期間中安く売ることによって人々がより多くのお店に気軽に足を運ぶことができるんだ。お店の存在を知ったお客さんたちはBurger Masterが終わった後も家族や友達とまたその店を訪れるだろう。そうやって小さなビジネスが成長していくことが狙いなんだ。」

食を愛する男トゥリオ・スロアガは、同じコンセプトで今回のBurger Master(ハンバーガー)の他にもSushi Master(寿司) とPizza Master(ピザ)を主催しています。

El festival de hamburguesas más grande del mundo debe su éxito a la buena selección de restaurantes participantes.

Le contamos cómo elige @tuliorecomienda a los hamburgueseros del Master https://t.co/rR73NExtui

-- Forbes Colombia (@forbescolombia) April 30, 2022

実際に食べてみた

期間中、忙しくてなかなか外出することができませんでしたが、Burger Master最終日になんとか１件のお店からハンバーガーを購入することができました。

お店には長蛇の列ができていたため今回はテイクアウト。バイクに揺られ揺られたため見た目は美しくなくなってしまったものの、味はとっても美味しいハンバーガーでした。ソースにはこの地区の名産であるコーヒーと黒糖が使われており、過剰な甘さを抑えるために自家製トマトソースとクリームチーズが使用されています。よく通っているはずの道にこんな美味しいハンバーガーを売っているお店があるなんて、Burger Masterがなかったら知る事はなかったでしょう。

今年のBurger Masterもハンバーガー販売数が200万個を越える事が確実とされており、前回に続いて今回の大会も大成功で幕を閉じました。現在投票が行われており、どこのハンバーガーショップが一位になるか分かるのはまだ先になりますが、入賞してもしなくても今回の大会でお店の存在を地元の人に知ってもらえたという事は、結果はどうであれお店側にとってプラスとなる事は間違い無いでしょう。経済成長が進み外国チェーン店もどんどん入って来ているコロンビアですが、クリエイティビティ溢れるローカルな飲食店にはこれからも頑張って欲しいと心から思うのでした。