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ラッシャー貴子|イギリス

英国で初めてのプラチナ・ ジュビリーにわいた4連休

プラチナ・ジュビリーのお祝いを数日後に控えたロンドン市内のリージェンツ・ストリート。お祝いの数週間前から、都市部の大きな通りにも、静かな住宅地にある家にも、国中の至るところにユニオンジャックや女王の写真が飾られて、華やかな気分が盛り上がった。筆者撮影

 6月最初の週末は、エリザベス女王即位70周年のお祝いであるプラチナ・ジュビリーのさまざまな行事が行われた。英国の長い歴史のなかでも、プラチナ・ジュビリーを祝うのは今回が初めてのことだ。つまり、エリザベス女王は 英国でもっとも在位期間の長い君主ということになる。もともとの祝日を少しずらしたりして木曜から日曜までの4連休にしたこの週末は、ほぼすべての祝賀行事が国営放送BBCでテレビ中継もされて、国中がお祝いムードに包まれた。

 おめでたい雰囲気に巻き込まれて、わたしもほとんどの祝賀行事をテレビで見て過ごした。行事は興味深いものばかりだったけれど、英国らしさという意味では初日の「トゥルーピング・ザ・カラー」と呼ばれる軍事パレードがとても印象に残った。ロイヤルファミリーが馬車や乗馬姿で登場したり、着飾った兵士が行進したりする伝統に則った華やかな式典だ。これ自体は女王の誕生日を祝う行事なので毎年見ることができるけれど、今年の儀礼飛行では機体で70の数字をかたどって飛ぶ演出もあって、大歓声が上がった。このところ公の場に姿を見せる機会が減っていたエリザベス女王も、バッキンガム宮殿のバルコニーでこれを眺めて、宮殿前を埋め尽くした人たちの前で久しぶりの笑顔を見せた。


BBCロンドンのInstagram投稿より、トゥルーピング・ザ・カラーの最後の様子と、思い思いにユニオンジャックや王冠を身に付けて楽しむ見物客へのインタビュー。

 こういう行事で驚くのは、ユニオンジャックや王冠などの不思議なグッズを身につけてイエーイと盛り上がって楽しめる人たちだ。それもツノのように国旗を頭に突き立てたり、ユニオンジャックのサングラスをかけたり(レンズの部分がユニオンジャック柄!)、なんだか不思議なものも多い。とにかく楽しむことがとても上手な人たちだと思う。

 3日目にバッキンガム宮殿前で開かれた祝賀コンサートも大人気だった。そもそも王家の公邸の真ん前でコンサートを開くこと自体が日本人には斬新に思えるけれど、さらにその建物をスクリーンに見立てて、女王の70年の軌跡をたどったり、女王にお祝いメッセージを贈ったりする人の写真や映像、曲の内容に合わせた映像などが大胆に映し出してしまうのだ。このコンサートにはNHS (無料で受けられる国民保健サービス)の関係者が多く招待されて、テレビ中継は平均1200万人もが視聴した。

BBCロンドンのInstagram投稿より、祝賀コンサートのハイライトシーンの写真。

 クイーン、ロッド・スチュワート、エルトン・ジョンなど世界的な英国のアーティストが出演するなかで、トリがアメリカ人のダイアナ・ロスというのは不思議だったけれど、彼女はチャールズ皇太子お気に入りの歌手だそうだ。コンサートの合間には王室からのスピーチもあって、若い世代を代表するウィリアム王子は環境問題に触れ、チャールズ皇太子はお決まりの「女王陛下、マミー」(マミーは子どもが使う言葉)という呼びかけで始めた。これは女王に宛てたスピーチをする時の彼の鉄板ジョークで、これを言って笑わせないと国民が納得しないのだ。

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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