イタリアの緑のこころ
日伊の犬・猫飼育状況と猫雑誌 読者が決めたイタリア猫の日
犬・猫飼育状況 イタリアと日本
2019年の調査報告、Assalco - Zoomark 2019によると、イタリアの世帯の38.8%は犬と猫のいずれか、あるいは両方を飼っていて、犬を飼う世帯は27.1%、猫を飼う世帯は18.3%であるとのことです。一方、同年の日本のペットフード協会による調査では、日本では、犬を飼う世帯が12.55%、猫を飼う世帯が9.69%となっています。
イタリアの人口は約6000万人で、日本の人口の約半分なのですが、推計飼育頭数は、イタリアで、犬が700万匹、猫が730万匹、日本では、犬が879万7千匹、猫が977万8千匹ですから、どちらの国でも犬を飼う世帯の方が猫を飼う世帯よりも多いものの、ペットとして飼われている数は、猫の方が犬よりも多くなっています。
ペットフード協会の調査結果を見ると、日本では、「室内飼育が進む中、集合住宅での飼育が禁止されている住環境問題が大きな飼育阻害要因となっている」上に、「十分に世話ができない」ために犬や猫を飼うことが考えられない、あるいはためらわれる状況があり、そのために、イタリアの方が、犬や猫を飼う世帯の割合が高いのではないかと思います。Assalco - Zoomark 2019によると、イタリアでは、ペットを飼うにあたって、飼育者の48.7%が飼育環境の広さ、30.7%が家族の生活様式を考慮しているとのことで、イタリアの方が、住環境・労働環境が犬や猫を飼いやすい環境である場合が多いのでしょう。
イタリア 猫の日、「黒ネコのタンゴ」の元歌
こんなふうに、イタリアでも猫を愛する人が多いために、日本で2月22日が猫の日と決まった3年後、1990年には、イタリアでも猫の日(Festa del Gatto)が設けられました。
イタリアの猫の日は、猫の専門誌による読者投票で、2月17日となったのですが、ではどうして2月17日が提案されたかというと、その理由もイタリアの文化を反映していて興味深いです。
2月とした理由は、猫のように自由で反俗の精神を持つみずがめ座の月であり、民間伝承で「猫と魔女の月」とされているためで、17日なのは、イタリアでは伝統的に17が不運を呼ぶ日とされ、猫も同じく不吉と考えられていたからであるとのことです。(詳しくはこちらの記事)
飼い猫を愛する気持ちを歌った歌に、「黒ネコのタンゴ」がありますが、実はその原歌はイタリア語の歌、「Volevo un gatto nero」です。
「わたしは黒猫がほしかったのに、あなたときたら白猫をくれた。黒猫さえくれたら、ワニだって、象だって、あなたにあげたのに」と、もらったのが黒猫ではなかったことを怒る子供の心を歌ったもので、サビの部分では、「わたしは黒猫がほしかったの、黒い、黒い猫よ」(Volevo un gatto nero, nero, nero)と、「黒い」(nero)という言葉が繰り返されています。
黒い猫ということで、冒頭の写真は、昨年12月にオルヴィエートで見かけた猫です。猫がいたのは、古代エトルリア時代に使われていた井戸や洞窟を訪ねることができるカーヴァの井戸(Pozzo della Cava)の入り口です。(詳しくはこちら)
著者プロフィール
- 石井直子
イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。
ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia
Twitter:@naoko_perugia