NYで生きる!ワーキングマザーの視点
欧米の映画祭で数々の受賞!東日本大震災から10年後を描いた「最後の乗客」が日本全国順次ロードショー
映画の冒頭から、波の荒い海が美しく広がり、その動きはなんとも滑らかで、不思議と引き込まれるような感覚にさせられる。
しかし、その後は一転してゆるやかな日常風景が広がる。タクシー運転手同士が缶コーヒー片手に軽く噂話をする場面なんて、何の変哲もないけれど、なんとなく安心感に包まれる。だが、この物語が謎に包まれていて、違和感を感じさせるのはなぜだろう?
© Marmalade Pictures, Inc.
中でも印象に残るのは、主演女優である岩田華怜の演技。最初はちょっと感じの悪い女性として登場する。その態度の裏に何があるのかという疑問を抱かせる巧みな表情やセリフが気になって、目が離せなくなる。彼女が醸し出す独特な雰囲気は、物語全体のミステリアスな空気をさらに深めている。
この映画には、堀江監督自身が宮城県仙台市の出身であるため、強い地元への思いが込められている。本作のキャストやクルーの多くが宮城県出身であることもその一つ。
そして「東日本大震災を風化させたくない」、「震災で亡くなった人たちのように、人はいつ亡くなるのかわからないから、毎日を大切に生きて欲しい」という思いが、映画の中で静かに、でも確かに響いてくるのだ。
ぜひ皆さんにも、会場へ足を運んで実際に映画の中から、その思いを感じてほしい。
■公開予定
10月11日(金)ユーロスペース、池袋シネマ・ロサほか全国順次ロードショー
■最後の乗客
制作・監督・脚本・編集:堀江貴
出演:岩田華怜、冨家ノリマサ、長尾純子、谷田真吾、畠山心、大日琳太郎
撮影:佐々木靖之 制作プロダクション:マーマレード・ピクチャーズ 配給:ギャガ
【2023年/日本/カラー/16:9/DCPステレオ/55分/G】
【プロフィール】
堀江貴(ほりえたかし)
映画監督。南カリフォルニア大学映画学科卒。2016 年、大江千里ミュージックビデオ「Tiny Snow」でニューヨークジャズフィルムフェスティバルで最優秀ミュージックビデオ賞とジャズゴールデンタイム賞をダブル受賞。2017年、自主制作短編映画「Ordinary Days」を発表。The Artemis Women in Action Film FestivalとNew Hope Film Festivalの短編ナレイティブ部門で選出され上映。2023年、東日本大震災から10年後をテーマにした中編映画「最後の乗客」を発表。ニューヨークで近年注目を集めるバウウェリー映画祭での最優秀賞を受賞したほか、全米各地の映画祭で上映され多数受賞。その他、ヨーロッパ(フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン)の映画祭でも選出され、複数受賞。
【関連リンク】
映画「最後の乗客」オフィシャルサイト
映画監督・撮影監督 堀江貴公式サイト
著者プロフィール
- ベイリー弘恵
NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。
NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com