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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

全米人気ドラマ「SHOGUN 将軍」に出演した俳優ヨシ天尾はNY侍ソードクラスの師匠

©Yoshi Amao

真田広之がプロデュースと主演をつとめた「SHOGUN 将軍」が第76回エミー賞®最多25ノミネートを獲得しており、様々な受賞を待つばかり。そんな中、同ドラマに俳優として出演したヨシ天尾にお話をうかがった。ヨシ天尾は、現在、NYの侍ソードクラスでアメリカ人に刀さばきを教える師匠でもある。

──「SHOGUN 将軍」に出演するきっかけは何でしたか?

オーディションです。

数年に渡っていくつか別の役も受けましたが、この瀬良(せら)という家臣の役でブックされた、とマネージャーから連絡を受けて、急遽カナダ・バンクーバーに向かいました。すでにブックされていた仕事をカバーしてくれた嫁、友人、クライアントには大感謝です。

──撮影現場で一番印象に残っているエピソードは何ですか?

撮影当日にその日の台本が配られるのですが、結構セリフが変わっていたり、他の役のセリフと入れ替わったりしていて、それぞれ焦ったのが印象に残っています。

──役作りで一番苦労した点はどこですか?

殿の命令に反対するという強い意志を持ちながらも、殿に対するリスペクト、畏れも抱いたまま、実行しなければならないという葛藤の部分。

クローズアップなので、ちょっとした目の動きにも気を配りました。

──
共演者とのエピソードや仲の良い俳優はいますか?

真田さんは、本当に腰が低く、礼儀正しく、しかも気さくで、常に他の俳優が演技しやすいように気遣いして下さる方ですね。

ニューヨーク・プレミアでご挨拶した時も、「あの緊迫のエピソード8は良かったね。」と間髪入れず答えていただいたのは、嬉しかったです。

西岡徳馬さんとは、撮影所への移動の車が一緒で、色んな話を楽しくしていただきました。特に日本とハリウッドの撮影方法の違いなど、もっとお聞きしたかったです。

浅野忠信さんは、いつもニコニコ。カメラが回っている時といない時の差が少ない印象を受けました。

ニューヨークの先輩AKOさんとは現地で食事をした時、役者の所作・作法の指導のために日本から来られていた帆之亟(はんのじょう)さんをご紹介いただき、その後も仲良くしていただいております。

澤井杏奈さんとはニューヨーク・プレミアでお話しさせていただきました。ナチュラルで頭のいい才能に溢れたお嬢さんでした。

同じく家臣としてロスからキャストされた正木ひとしさんも、いい友人です。

──この映画で演じたキャラクターについて、どのような点に共感しましたか?

絶対的な殿に対して意見をする際の葛藤、勇気、緊張感という三つの要素は、現代社会で自分自身が「本番」に対して立ち向かう時に経験する感情と何ら変わりないくらい共感を覚えました。

──撮影中に学んだことや新しいスキルはありますか?

侍の作法を小笠原流で一から教えていただきました。歩き方、立ち方・座り方、礼の仕方、刀の差し方、食べ方、酒の飲み方など。

──
監督とのコミュニケーションや指導で印象的だったことはありますか?

エマニュエル監督からは、「君はとてもハンサムだから」とおだてられて、気持ちよく演技させていただいたのが印象に残っています。

──「SHOHUN 将軍」が公開された後のファンや視聴者からの反響はどう感じていますか?

たくさんのお祝いメッセージをいただきました。今まで出演したどの作品よりも、確かな手応えを感じました。家族からは「今までの下積み時代の努力が実ったね!」「見事な遅れ咲きだね!」と言われました。

「下積み!?遅れ咲き!?」自分としては、結構咲いてるつもりだったのだけれども、世間の取り方はそうだったんだな、と改めて納得させられた思いです。

──
この映画のテーマやメッセージについて、あなた自身はどう感じていますか?

映像界の頂点であるハリウッドに対する偉大なる挑戦であり、革命でしょう。日本人の日本人による世界のための作品への第一歩だと思います。

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©Cultural Experiences LLC  NYブルックリンのクラスで生徒たちを指導するヨシ天尾

──今後のプロジェクトや挑戦してみたい役柄があれば教えてください。

ハリウッドと名のつくものは何でもやりたいですね。特に命がけの役。サムライであったり、兵士であったり、医者や患者であったり。自分のサムライ・プロジェクトでは、団員を増やし、ダブルキャストできるようになりたいです。

──この質問だけ、ちょっと個人的な質問なってしまいますが、私は真田広之さんが柳生一族の陰謀に出てた(デビュー作)ときからのファンなのもので。。。

「将軍」は、真田さんプロデュースの作品ということですが、なにか真田さん特有のものがあったりしましたか?

江戸の町を侍の行列が歩くシーンで、バックグラウンドとして遠くに映り込む竹林があったのですが、大道具さんがそれを丁寧に一本ずつ角度を変えたり、葉の向きを変えたりされていて、「さすがは日本から来られただけあって、こんなところにまで常に気を配るんだな。」と感心してみていたら、実はそれが真田さんでした!

よく記事にもなってましたが、実際出番がなくても、本当にいつでも現場におられて、そういった細かいことにまで眼を光らせておられましたよ。

腹切りのシーンに話を戻すと、自分が映っていないシーンでも、カメラの後ろでしっかり相手の眼を見て演技されていました。主役兼プロデューサーがこんな態度で望んでおられたら、いやが上でも皆気合がはいりますよね。

しかも結構お喋り好き(?)で、話しやすいものだから、僕なんかでも脇差への手の掛け方なんていう、本来なら作法指導の方に確認するべきことを真田さんに聞いてしまったりしました。それくらい話したくなる人なんです。

2003年、ラストサムライのプレミアイベントでもニューヨークでお会いしましたが、その時から真田さんの印象は一貫して、「人間好き」「探究心旺盛」そして「クリエイティブ」です。プロデューサーとしても益々活躍されそうですね。

【プロフィール】
ヨシ天尾(よしあまお)
1990年、奈良からNYへ。2000年、出演したバドワイザーのCMが、ベストCM賞に。2003年、殺陣カンパニー「サムライ・ソード・ソウル」を設立。パフォーマンス活動を開始。同年、テレビシリーズ「サムライ・スポーツマン」でテレビ初主演。一方、日本語・英語・アドリブを巧みに操り、米東海岸桜祭りからヨーロッパ、カナダ、ブラジルのテレビショーまでメインMCを務める。2022年、「SHOGUN 将軍」出演。同年、オフブロードウェイ「忠臣蔵」出演。2023年、DCの「太平洋序曲」、ロンドンの「タランティーノ・ショー」の振付担当。

【関連リンク】
ヨシ天尾オフィシャルサイト
Samurai Class Instagram
Cultural Experiences LLC

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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