「決められたこと」しかできない日本の介護は、もっと自由でいい
「高齢化先進国」イタリアの自由な介護
長男が留学中のイタリアも、高齢化が最も進んだ国の1つ。約4人に1人は65歳以上で、75歳以上は740万人。ここでも注目に値する動きはある。まず、お年寄りを「terza età(テルツァ・エタ)」、つまり「人生の第3段階」を送る人と呼ぶことが多い。「人生の第3段階、どうする」という言い方を使っただけで、高齢者という階層を前向きに受け止めていると感じる。
そして多くの地域では、自治体の補助金を投入して、まだ自立できる65歳以上の市民対象のシェアハウスを設けている。これは高齢者が本格的な介助を必要とする前から1人暮らしをやめ、支え合うスペースに入る、という試みだ。施設は日本の介護サービス付き住宅と似ていなくはないが、居住者の助け合いがメインで、施設スタッフによる「サービス」の部分はないか、もっと少なめだ。
実施している北部ルッカ市はこれを「近所との良好なネットワークを構築し、スペースとサービスを共有する」ための空間と説明している。居住者たちはルームメイト感覚で共に料理したり、共同空間に関する計画を立てたりすることが多い。自治体はこれらのスペースを町の中心部に置くことが多いので、商店街も活性化できている。