百人一首とX(旧ツイッター)の共通点とは?...駐日ジョージア大使が愛する、和歌と歌人
現在、私はX(旧ツイッター)を日常的に使用しているが、その実力を知ったのは、2011年の東日本大震災の時だ。当時、私は早稲田大学の学生で、地震発生時は友人と一緒にいた。
大きな揺れに動揺していた際に、友人がスマホのツイッターのアプリを見ながら言った言葉は「震源は東北だ」であった。情報のスピード感に大きな衝撃を受けたことは今でも忘れられない。
Xには文字数に制限がある。その限られた文字数の中で、その時々の状況や気持ちをうまく表現することが真骨頂である。
日本のXのユーザー総数は約5900万人で、アメリカに次いで世界2位。しかし人口に占める割合は47%で、これは23%のアメリカの約2倍の普及率だ。
日本でXが普及している背景には、短い文字数制限の中でさまざまな表現を工夫する、和歌の文化があるというのが持論だ。日常における人間の感情の機微を簡単な言葉で見事に表現する日本語のXが、現代の詩歌にも通じていることが面白いと思う。
最後に私が敬愛する歌人について触れさせてほしい。実は私には好きな歌人がいる。その歌人こそが、本コラムに寄稿されているカン・ハンナ先生だ。
彼女は日本語が母語でないからこそ見えてくる日本の良さや、気付きにくい人生のふとした心情などを独特にうまく表すことができる歌人だ。私は才能あふれるカン・ハンナ先生を陰ながら応援してきた。
そんなコラムの執筆陣に加えていただき、大変光栄に思っている。今後ともよろしくお願いいたします。
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
TEIMURAZ LEZHAVA
1988年、ジョージア生まれ。1992年初来日。早稲田大学卒業後にキッコーマン勤務を経て、ジョージア外務省入省。2021年より駐日ジョージア特命全権大使を務める。共著に『大使が語るジョージア』など。