日本の小学生にもプチ・インターンシップを!
子供のためだけでなく地域社会のためになる Kohei_Hara/iStock.
<ドイツには小学生が参加する一日インターンシップがあり、職業を体験する貴重な機会となっている>
ひな祭りが過ぎ、こどもの日が近づくのを機に、自分の子供時代のことを思い返してみたい。
アメリカのニュージャージー州での話だ。小学4年生のとき、近所の年配者から、週1回くらいお手伝いをしてくれないかと頼まれた。「冬は雪かき、夏は雑草取りなどをしてほしい」。僕は「力仕事なら任せて」と承諾した。
でも驚いたことに、何も仕事がないという日が多かった。そういうときは野菜の栽培方法を学んだり、料理を作る作業をひたすら見ているのが「任務」。いま思うと、アルバイトというよりは何かの研修のようだった。
あの時の子供が成人し、日本に住んで30年もたつ。そして気が付くと、家を通り掛かる近所の子供たちに、自分が声を掛けている。車庫前の庭の一角を指して、「○○ちゃんなら、そこで何を育てる? ソラマメがいいかな、それともピーマン?」という具合に。
相手が立ち止まってやりとりに関心を示したら、そこを出発点に話が続く。「種まき相談」がプチ生物学講座シリーズに発展するときもある。庭で見つかったさなぎがもうすぐチョウになるか、ガになるか、気になって見守っている「生徒」が2、3人いる。
「こどもの日」には働くドイツ
五節句に由来するひな祭りとこどもの日は極めてアジア的なもので、西洋にはそれに匹敵する行事はない。しかし、同じような名前の日ならドイツにある。4月の第4木曜日は、「女の子の日」であり「男の子の日」だ。ただし、子供は好きなものを食べて遊ぶわけではない。むしろ働くのだ。
この日は、5年生以上の子供は希望すれば学校を休み、職業体験のプログラムに参加できる。ほのぼのとした一日インターンシップで、たいてい企業や行政機関、医療機関などがセッティングしてくれる。
わが家の息子はベルリンの小学校在学中、あるときは図書館に行って本の整理を済ませた後、ちょっとしたロボット工学研修にも参加できた。次の年は、たしか同時通訳体験を選んだ。ラジオ局で天気予報を読み上げるという貴重な体験をしたこともある。
プログラムが少なかったり、応募が遅れたりした場合、生徒は「残りもの」を選ぶことになる。例えば「3K労働」系はさすがに人気がなかった。申し込み制で早い者勝ちなので、こうなるのは仕方がない。