- HOME
- コラム
- 欧州新首都:ベルリンから世界を読む
- ドイツの選挙が静かすぎる理由──投票支援ツール「ヴ…
ドイツの選挙が静かすぎる理由──投票支援ツール「ヴァールオーマット」とは何か?
ヴァールオーマットのルーツ
1985年、アムステルダムの公共・政治問題研究所(Instituut voor Publiek en Politiek: IPP)は、オランダの政治教育の手段として「StemWijzer」を開発した。当初は紙のバージョンとして、後にフロッピーディスクのデジタル形式で発表され、1998年以降はインターネット上で動作し、さまざまな選挙に向けてオンラインで公開されてきた。2017年に2度の選挙が行われた時には、約700万人に利用された。オランダの人口が1,720万人であることを考えると、これは傑出した数字である。
オランダで最も成功した投票アドバイス・アプリケーション(VAA)であるStemWijzerに加えて、同等のプロジェクトが他の多くの国でも見られるようになった。VAAは、ヨーロッパのほぼすべての国で確立されており、1つの国に複数のツールが存在する場合もある。ヨーロッパの国境を越えた選挙のために定期的に提供されているさまざまなツールもある。さらに、この種のツールは、北アメリカと南アメリカの国々だけでなく、アフリカやアジアのいくつかの国々でも見つけることができる。
民主政治の砦
いずれにしても、こうした投票支援ツールを有権者がどれだけ真剣に利用してくれるかが問われている。ドイツのヴァールオーマットの最初のアプローチは、しばしば遊び心のあるツールだった。それが次のステップで、有権者の真剣な議論につながった。これを可能にしたのは、政党の真摯なオファーの内容とデザインが重視されたことである。ユーザーフレンドリーで使いやすいインターフェースは不可欠だった。
ドイツや欧州選挙で標準化された投票支援ツールの成功実績を考えると、投票に行かない有権者を真剣に政治に振り向かせるには、民主主義を守るための努力が必要である。これには民間だけでなく、ドイツのように、国の責任で投票支援を実行することが求められているのかもしれない。
存続意義が問われるドイツの公共放送 2022.10.25
ディープフェイクの政治利用とその危険性:ビデオ会議のキーウ市長はデジタル合成だった 2022.07.20
ウクライナ戦争:接続性が紛争を招く理由 2022.04.07
反アマゾン:独立小売業の変革を推進する「アンカーストア」の急成長 2022.03.02
ベルリンの中心市街地で自家用車の利用が禁止されるかもしれない 2022.01.27
ベルリンのコワーキングスペースが隆盛な理由 2021.12.28
メタバースはインターネットのユートピアなのか、現実の悪夢なのか? 2021.11.26