最新記事
アフガニスタン

なぜウイグル人はアフガンでISと共闘するのか?...中国の「影響力」とアメリカの「無影響」

2025年3月10日(月)16時40分
ベスミッラー・タバン、デービッド・オブライエン
「ISホラサン州」の襲撃を受けた首都カブールの中国系ホテル

「ISホラサン州」の襲撃を受けた首都カブールの中国系ホテル(2022年) ALI KHARAーREUTERS

<ほぼ全ての対外援助を停止するというトランプ政権の決定が、中国の影響力拡大をさらに加速させる可能性>

ウイグルの分離独立主義勢力は、20年続いたアフガニスタン内戦で一貫してイスラム主義勢力タリバン支持だった。だが、ここへきて変化の兆しが見える。

タリバンは長年、東トルキスタンイスラム運動(ETIM、別名トルキスタン・イスラム党)のメンバーに居住や密輸の機会を提供してきた。その見返りにウイグル側はタリバンを経済的に支援し、戦闘員を供給した。


一方、中国は2021年にタリバンが政権に復帰すると、関係強化に踏み切った。タリバンは広範な経済的・政治的支援を期待したが、中国は自国の経済的・戦略的利益に沿う支援に的を絞る。

過去3年半、政府の後押しを受けた中国企業はアフガンで大きな存在感を示してきた。さらに中国政府は国際舞台でタリバンを政治的に支援し、影響力強化を図っている。

タリバン暫定政権のアブドル・ガニ・バラダル経済問題担当副首相は「どんな勢力も中国に不利益な行動に関与することを許さない」と明言した。ウイグル人武装勢力の取り締まりという中国側の要求に応じるということだ。

実際、タリバンは中国人や中国の権益に対するETIMの攻撃を抑え込もうとしている。報道によれば、ETIMメンバーをウイグル人武装勢力の拠点だった北東部バダフシャン州から、西部ヘラート州などに移動させたという。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ニデック、差し止め求め仮処分申し立て 牧野フのTO

ビジネス

英CPI、3月は前年比+2.6%に鈍化 今後インフ

ワールド

米政府、ウクライナ支援の見積もり大幅減額─関係者=

ワールド

焦点:米関税「見直し」求め閣僚協議へ、先陣切る日本
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中