なぜウイグル人はアフガンでISと共闘するのか?...中国の「影響力」とアメリカの「無影響」
しかしアフガン内部の情報筋によれば、タリバン側には中国への不信感がある。
理由は、中国当局がタリバン政権の正式な承認や期待していた規模の財政援助に消極的なためだ。中国の関与は貿易と一帯一路構想の推進、そしてタリバンにETIM取り締まりの約束を守らせることに限られている。
一方、タリバンの仇敵である過激派組織「イスラム国」(IS)傘下の「ISホラサン州(IS-K)」は、ウイグル人武装勢力との連携強化に動いている。
21年10月には、アフガン北部の都市クンドゥズのモスクで自爆テロ事件が発生。約70人が死亡、140人以上が負傷した。IS-Kの犯行声明にあった実行犯の名前は、ウイグル系を示唆する「ムハンマド・アル・ウイグリ」だった。
25年1月にも、アフガン北東部タハル州で中国人が殺害された。IS-Kが犯行声明を出したが、アフガン国内の情報筋によると、実行犯はETIMのメンバーだ。両者の間で協定が結ばれ、ETIMがアフガン国内の中国人や中国の権益を攻撃した場合、犯行声明はIS-Kが出すことになったという。
タリバンと中国の関係強化を受け、中国での迫害を逃れてアフガンに避難した一般のウイグル人の間には懸念が広がっている。中国への強制送還を恐れる人々も少なくない。