トランプから中国への挑発...台湾の「独立不支持」文言削除に中国はこう動く
A New Taiwan Policy?

昨年5月に中国軍が台湾周辺で行った軍事演習を報じる中国・北京の大型ビジョン TINGSHU WANGーREUTERS
<米国務省が公開文書を修正。さらには、台湾の国連加盟を支持するように取れる文言変更も。台湾の「現状維持」が終わるのか。今後、最も可能性が高い中国の反応は...>
アメリカは台湾の独立を支持しない──。米国務省が公開している米台関係の概要文書「ファクトシート」に長年、記載されていた文言が最新の更新で削除されたことが2月16日に判明した。
公文書にありがちな細部の変更に思えるかもしれない。だが米中の戦略的ライバル関係という文脈では、この改訂は幅広い地政学的影響をもたらすことになりかねない。
トランプ政権は、台湾に関して越えてはならないとする中国のレッドラインを意図的に試しているのか。対中交渉で優位に立つための一時的な変更なのか。それとも、台湾の地位をめぐって、より明確なアプローチを打ち出す第一歩なのか。
米国務省はバイデン前政権時代の2022年、問題の文言をいったん削除したが、中国の外交的反発を受けて復活させた経緯がある。ドナルド・トランプ米大統領の下での今回の動きは、台湾政策でリスクを取る意欲の表れだ。今や中国と台湾とアメリカはそれぞれ、戦略を再調整しなければならない。