トランプから中国への挑発...台湾の「独立不支持」文言削除に中国はこう動く
A New Taiwan Policy?
アメリカはこの数十年間、均衡重視の「一つの中国」政策を踏襲してきた。その核には、3つの文書がある。
第1に、1972年に当時のリチャード・ニクソン米大統領が訪中した際に発表された米中共同声明(上海コミュニケ Shanghai Communiqué)で、台湾は中国の一部だという主張を、アメリカは「認識」するとしている。
第2に、1979年にカーター米政権による台湾との外交関係断絶と、米中国交正常化に伴って制定された台湾関係法(Taiwan Relations Act)で、アメリカによる台湾への防衛目的の武器売却などが定められた。
第3に、1982年にレーガン米政権が台湾に対して同意した「6つの保証」(Six Assurances)では、アメリカは台湾に中国との交渉開始を迫らないと再確認している。
アメリカはこうした枠組みのおかげで、中国の攻撃と台湾の一方的な独立の動きの双方を防ぎ、台湾海峡で現状を維持することができた。微妙な軌道修正を示唆する今回の文言削除は、戦略的曖昧性を強化する可能性も、弱体化させる可能性もある。
さらに、台湾の国際機関加盟をめぐる立場も見直された。米国務省は従来、台湾が加入可能なのは、加盟資格を国家に限らない機関だけだとしていた。だが最新版のファクトシートでは「場合によっては加盟国の地位を含め、国際機関への台湾の意義ある参加」を支持すると明記している。
アメリカが台湾の国連加盟などを支持する意向を示しているのであれば、中国にとってあからさまな挑戦だ。