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米国覇権の終焉...勢力均衡の時代か、新たな混沌の幕開けか?

The New Meaning of “Munich”

2025年2月26日(水)13時00分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

問題は、歴史がどの程度戻るのかということだ。アメリカのリーダーシップがなくなれば、小国が連合して大国に抵抗する旧来の勢力均衡型の地政学に戻るのだろうか。

鍵を握るのはヨーロッパのNATO加盟国だ。その多くはミュンヘン会議を受けて新たな自立を誓っている。アメリカに対抗する動きもあるかもしれない。


「だが彼らはまだ何をすべきかわかっていない」と、ヨーロッパ外交評議会リサーチディレクターのジェレミー・シャピロは言う。「安全保障、経済、エネルギーの面でのアメリカへの依存度の高さは、略奪的な同国の政権に対してほぼ無力であることを意味する。問題に対するコンセンサスがあっても、解決策へのコンセンサスはほとんどない」

2月17日、それが明らかになった。エマニュエル・マクロン仏大統領は、ヨーロッパが「戦略的自立」に向かう新たな試みとして、ブリュッセルで緊急会議を招集した。議題は、ロシアとの停戦交渉からヨーロッパの指導者を締め出したアメリカの決定に抗議する戦略を練ることだ。米政治専門サイトのポリティコは、「首脳らは新たな共同案を出すこともなく、ウクライナへの派兵をめぐって口論し、同国の支援と国防費増額についての決まり文句を繰り返した」と評している。

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