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米国覇権の終焉...勢力均衡の時代か、新たな混沌の幕開けか?

The New Meaning of “Munich”

2025年2月26日(水)13時00分
マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

ウクライナで口論する欧州

だが問題は、トランプが、アメリカが依然として世界の覇権国家であると考えているような行動を取ることだ。米ダートマス大学の国際関係学者ウィリアム・ウォールフォースは、「彼はアメリカの交渉力は強力でよりよい条件でいい取引ができると考えている」と述べる。「多極化という考え方とは相いれない」

ガザからパレスチナ人を追い出して「中東のリビエラ」にするという、一見不道徳で歴史を無視した構想など、トランプはその場しのぎで政策を打ち出していると考えられている。だが実際には、アメリカ政府は世界の世話役であるべきではないという見解において、トランプは驚くほど一貫している。


ある意味でトランプは、第2次大戦前の共和党の地政学的規範に回帰している。この数週間、グリーンランドやパナマ運河をめぐる西半球重視の姿勢や、ウィリアム・マッキンリー元大統領のような関税政策の導入など、19世紀的な権力行使をしている。

一方でトランプは、20世紀初頭から中頃の「タフト的共和党主義」の復活も象徴している。「ミスター共和党」と呼ばれたロバート・タフト上院議員は、ニューディール政策に反対し、トランプ運動にも似たアメリカ・ファースト委員会を支持した。ドワイト・アイゼンハワー元大統領は70年前、冷戦が始まると共和党の孤立主義者を黙らせたが、それが今「国家保守主義」として戻ってきたようだ。

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