中国発DeepSeekの戦略思考に、輸出規制一辺倒のアメリカは勝てるのか【トランプ2.0】
US Blows AI Lead in Race With China
ディープシークの魅力は、R1推論エンジンに支えられた消費者向けの無料利用モデルにある。このモデルは最小限の計算リソースで高いパフォーマンスを達成するため強化学習を統合している、と言われる。
ディープシークは、梁のヘッジファンド幻方(High-Flyer)が資金提供するR&D部門として誕生した。ディープシークの躍進は、地政学的な課題に対する同社の型破りな解決策によるところも大きい。
たとえば、2022年10月のアメリカの輸出規制は、中国のAI開発を厳しく抑制する恐れがあった。だが、ディープシークはエヌビディアのH100チップを1万個備蓄しており、それを使用して作業を続けたという。
利用者に月額20ドルから200ドルを請求するオープンAIとは異なり、ディープシークは個人ユーザーには無料でプラットフォームを提供し、開発者にも100万トークンあたり0.14ドルしか請求しない。オープンソースのディープシークが中小企業や開発者の人気を博しているのはそのためだ。
DeepSeek-R1は、推論と数学的問題解決においてオープンAIの最新モデル「o1」に匹敵するといわれている。チャットGPTよりも効率的にプログラミング言語バイソンのコードを生成するこのプラットフォームの能力は、ネット掲示板レディットのようなコミュニティでテクノロジー愛好家の議論の的になっている。