困窮家庭を直撃する物価高、肉や卵もぜいたく品に
米だけではなく、他の食品も値上がりしている。日本人のタンパク質の摂取量が戦後初期の頃と同レベルにまで低下しているそうだが、魚や肉が高くなっているためでもあるだろう。タンパク質の主な供給源について、100グラムあたりの値段を計算すると<表1>のようになる。1~9月の平均値が、10年間でどう変わったかを見たものだ。
9つの食材のデータだが、どれも値上がりしている。サケは1.5倍、サンマに至ってはほぼ倍増だ。あと10年もしたら,魚・肉・卵は高級品の部類になっているかもしれない。
困窮家庭にすれば現にそうなっているようで、9月22日の毎日新聞に「肉や卵もぜいたく品、不安抱えるシングルマザー」という記事が出ている。タンパク質は血肉、すなわち「体」をつくる重要な栄養素で、魚・肉・卵が口に入らないとなると、子どもの健全な育ちが脅かされる。
物価が上がるのは、原材料費や物流費の高騰にもよるので、ある程度仕方のない面もある。しかし、可処分所得が増えないのに、物価だけ上がるのはキツい。そこで政府の出番となるのだが、現金や食券の配布といった「一時しのぎ」の策ではなく、奢侈品を除く食品については消費税を軽減ないしは撤廃することが求められる。
過去最高を更新し続けている政府の税収を見ると、増えているのは消費税だけで、法人税や所得税は減っている。国民の「食」を保障するうえで、政府ができることはあるだろう。
<資料:総務省『家計調査』>