最新記事
日本経済

困窮家庭を直撃する物価高、肉や卵もぜいたく品に

2024年12月4日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
スーパーの食肉売り場

魚や肉の値上がりで日本人のタンパク質摂取量は戦後初期レベルにまで低下 Hakase.../iStock.

<この10年でタンパク質の供給源となる魚・肉・卵の価格は10%~90%も上昇>

日々、スーパーで買い物をしていて物価高を感じさせられる。ここ最近の値上がりが最も顕著なのは米だ。先日、無洗米5キロを3600円で購入した。春先の頃には1750円だったので、倍以上に価格が上がっている。酷暑で収穫量が減っているためとは聞いているが、主食であるだけにきつい。そう感じている人は多いはずだ。

総務省の『家計調査』に、米の購入費用ならびに購入量の平均値が出ている。今年9月の2人以上世帯のデータを見ると、購入に支出した費用は2907円、購入量は6.35キロ。よって5キロあたりの値段は、2365円ということになる。「3000円は超えているのでは」という気もするが、地域差もあるので全国値だとこうなのかもしれない。


この指標の推移をたどってみると、最近の米価の高騰が露わになる<図1>。月単位のデータで凹凸がやや激しいので、当該月と前後の月の平均をとった移動平均法で推移を均している。

newsweekjp20241204015155-d02a4dcc0814a6e5b3aab3b68da78ed28eeed03e.png

今年になってからの上昇が顕著だ。うなぎ上りと言っていい。この10年ほどの間ではなかったことで、天候不良の影響に加え、米の生産量を抑制する「減反政策」が行き過ぎたのではないか、という政治の失敗も指摘されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日製副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中