「患者の命より自分の利益...」揺れる韓国医療、研修医ストライキが招いた悲劇の実態
KOREAN DOCTORS ON STRIKE
だが、改革の必要性は尹も痛感していた。だから今年2月、ついに医学部の定員増を発表。今後5年間で、現在約3000人の入学定員を毎年2000人ずつ増やす構想だが、大学側の受け入れ体制を考慮し、まずは25年度の新入生を1500人増の4500人とすることになった。
しかし、医師の増加による競争の激化と収入減を恐れる研修医(全国で約1万3000人)の90%以上がこの計画に抗議して辞表を出し、今も職場復帰を拒んでいる。事態は深刻だ。突然の人手不足で救急患者の受け入れを断る病院もあり、防げたはずの死が増えている。適切な治療を受けられなかった患者の数は、昨年に比べて40%増えた。
今年上半期には、救急治療室で死亡する患者の割合が前年同期比で13.5%も増えた。救急搬送中に息を引き取る患者もいる。遠くの病院に回されて搬送に時間がかかり、手遅れになって死亡する例や、深刻な後遺症が残ってしまう例もある。
それでも、ストが終わる気配はない。彼らは韓国にこれ以上の医師は必要ないと主張している。韓国では医師の数が人口1000人当たりわずか2.6人で、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均の3.7人よりはるかに少ないが、この事実の深刻さを彼らは認めようとしない。