「患者の命より自分の利益...」揺れる韓国医療、研修医ストライキが招いた悲劇の実態

KOREAN DOCTORS ON STRIKE

2024年11月7日(木)16時20分
ウヌ・リー(ライター)

newsweekjp20241107050907-3da6ca956a636de5a4ad5ade39e3ce2760e0e7f8.jpg

医師は大都市の大病院に集中しがち(ソウル) LEE JAE WON/AFLO

なぜか。OECD加盟国の多くでは、医療サービスが「人頭払い」方式で運営されている。これに対して韓国では、診療報酬が「出来高払い」方式で支払われる。

人頭払い方式では、医師は登録患者1人につき一定額の報酬を受け取る。医療の質を確保し、過労で医師が倒れる事態を防ぐため、各医師が担当する患者数に上限を設ける場合もある。そうでない場合は、医師が多くの患者を担当すればするほど、報酬が増えることになる。どちらにせよ、人頭払い方式をベースに十分な数の医師を確保することで、医療の地域格差が減り、より公平な医療サービスを提供できるはずだ。


需要に見合う医師がいない

しかし韓国では、個々の診療行為に対して報酬が支払われる。この場合は、できるだけ多くの患者を少数の病院に集め、少数の医師で対応するほうが儲かる。出来高払いである限り、医者はどうしても利益率が高くて値段も高い「最先端」の医療を提供したくなる。

韓国の医師の平均年収は20万ドル超で、OECD加盟国の中では最も高く、韓国の平均的な労働者の年収の約7倍に当たる。人頭払い方式でも、少ない医師で多くの患者を担当すれば医師の収入は増える。ただOECD加盟国の多くでは、そうならないように一定数の医師を養成できる仕組みを整えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米特使、イラン提示の内容に「失望」と報道 第3回目

ビジネス

エヌビディア株一時4.8%安、好決算もAI投資巡る

ワールド

米ウクライナ、ジュネーブで高官協議 ロシア特使も現

ワールド

ヒラリー氏、エプスタイン問題巡り「情報なし」 下院
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウクライナ戦争5年目の現実
  • 4
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 5
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 6
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「バカにされてる」五輪・選手村で提供の「アメリカ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中