「彼女が言うんだ。もう大丈夫だって」優しく哀しい死刑囚が見た夢
Pastor to the Condemned
74年に警官殺しで有罪になったアルビン・フォードにも会った。彼と話すのは難しかった。元気かと尋ねると「R2ポープ156デスティニー」といった訳の分からない言葉が返ってくる。だがフロリダ州当局は、アルビンの精神状態は死刑の執行を妨げるものではないと判断した。
アルビンの死刑が執行される直前、連邦最高裁が介入して差し止めた。彼の事件は連邦最高裁の「フォード対ウェインライト判決」につながり、心神喪失者は死刑にできないという判例になった。91年、アルビンは37歳で自然死した。
原則として、私は知り合いの死刑囚の刑執行を見届けることはない。友人が処刑されるのを見なくてはならないなら、この仕事はできない。
しかし、ウィリー・ダーデンは私にこう迫った。「ジョー、俺の最期を見届けてくれ」。私はしぶしぶ了承した。
死刑執行室に隣接した部屋では椅子に座ることもできたが、私は彼に見えるよう立つことにした。看守たちに連れられてきたウィリーは、手かせと足かせをされていた。看守らは彼を椅子に連れていき、手かせを外して座らせた。
椅子に押し込められるとき、ウィリーの首は背もたれに強く打ち付けられた。彼はうずくまったが、私に向かって親指を立て、大丈夫だと伝えてきた。看守らはウィリーの胸と脚と腕を革ベルトで締め、顔をフードで覆った。
ウィリーは手を上げ、私にさよならと手を振った。約2100ボルトの電流が3回流れ、彼は感電死した。