半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質
Where Shani Louk's Body Was Found
母親が見せるシャニ・ルークの写真 Christoph Soeder/dpa via Reuters Connect
<音楽とタトゥーが好きだった彼女、最後に生きているのを目撃されたのは頭から血を流し、喜ぶハマスの男たちに取り囲まれているところだった>
イスラエル軍は5月17日、昨年10月7日に起きたイスラム主義組織ハマスによる越境攻撃の際、ガザ地区に連れ去られたドイツ系イスラエル人女性シャニ・ルーク(23)の遺体を発見・収容したと発表した。ルークはガザで、半裸の状態でトラックの荷台に載せられてさらし者にされる様子が動画になって大きな反響を呼んでいた。
イスラエル軍の報道官によれば、ルークと他の男女2人の人質の遺体は16日夜にガザ地区のトンネル内から収容され、家族にも通知されたという。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明を出し、「心を痛めている」と述べるとともに「私と妻のサラは遺族と深い悲しみをともにしている」と語った。
またネタニヤフは「勇敢なわが軍の兵士たちが覚悟の行動でわれわれの息子や娘を取り戻したことを称えたい。われわれはすべての人質を、生死を問わず取り戻す」と述べた。
ルークの遺体は57歳の男性と28歳の女性の遺体とともに発見された。3人ともイスラエル国民で、同国南部で開催されていた音楽祭に参加していたところハマスの襲撃に遭った。この音楽祭だけで260人を超える一般市民が殺害された。
その後、重傷を負って半裸の状態でトラックの荷台に載せられたルークが、ハマスの構成員に取り囲まれている動画がソーシャルメディアで出回った。この動画は、ハマスのテロ攻撃の恐ろしさを象徴するものとなった。
あれが最後だったなんて
襲撃から2カ月後、音楽祭の会場で発見された頭蓋骨の一部がDNA鑑定でルークのものと確認され、イスラエル軍はルークの死亡宣告を親族に対し行った。
ルークの母はドイツのテレビ局に対し、娘は襲撃当日に死亡したとの見方を示すとともに「少なくとも(娘は)苦しみはしなかった」と語った。
ルークが死亡した状況は正確には分かっていない。音楽祭の参加者の1人はドイツの政治討論番組で、亡くなる前のルークを目撃したと証言している。「われわれは彼女が、頭にけがをして血を流しているのを目撃した。連中(ハマス)は彼女を取り囲み、彼女が苦しんでいると歌い、うれしそうに喝采の声を上げていた。あれが彼女にとってこの世における最後の瞬間だったなんて」
ルークのきょうだいのアミットはその死を悼んでこう述べた。「彼女は音楽が大好きだった。タトゥーも大好きだった。生まれながらの芸術家で、話す様子も体の動かし方もダンスをするところもまさにそんな感じだった。ダークな面などない、本物の天使だった」
ハマスや関係する団体が10月の攻撃の際にイスラエルから連れ去った人質は250人で、今も125人ほどが拘束されたままだ。そのうち生存者がどのくらいいるかは分かっていない。