最新記事
人質

半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

Where Shani Louk's Body Was Found

2024年5月20日(月)15時45分
ジーザス・メサ
母親が見せるシャニ・ルークの写真

母親が見せるシャニ・ルークの写真 Christoph Soeder/dpa via Reuters Connect

<音楽とタトゥーが好きだった彼女、最後に生きているのを目撃されたのは頭から血を流し、喜ぶハマスの男たちに取り囲まれているところだった>

イスラエル軍は5月17日、昨年10月7日に起きたイスラム主義組織ハマスによる越境攻撃の際、ガザ地区に連れ去られたドイツ系イスラエル人女性シャニ・ルーク(23)の遺体を発見・収容したと発表した。ルークはガザで、半裸の状態でトラックの荷台に載せられてさらし者にされる様子が動画になって大きな反響を呼んでいた。

【動画】美しかったルークが、突如ハマス暴虐の象徴に

イスラエル軍の報道官によれば、ルークと他の男女2人の人質の遺体は16日夜にガザ地区のトンネル内から収容され、家族にも通知されたという。

 

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明を出し、「心を痛めている」と述べるとともに「私と妻のサラは遺族と深い悲しみをともにしている」と語った。

またネタニヤフは「勇敢なわが軍の兵士たちが覚悟の行動でわれわれの息子や娘を取り戻したことを称えたい。われわれはすべての人質を、生死を問わず取り戻す」と述べた。

ルークの遺体は57歳の男性と28歳の女性の遺体とともに発見された。3人ともイスラエル国民で、同国南部で開催されていた音楽祭に参加していたところハマスの襲撃に遭った。この音楽祭だけで260人を超える一般市民が殺害された。

その後、重傷を負って半裸の状態でトラックの荷台に載せられたルークが、ハマスの構成員に取り囲まれている動画がソーシャルメディアで出回った。この動画は、ハマスのテロ攻撃の恐ろしさを象徴するものとなった。

あれが最後だったなんて

襲撃から2カ月後、音楽祭の会場で発見された頭蓋骨の一部がDNA鑑定でルークのものと確認され、イスラエル軍はルークの死亡宣告を親族に対し行った。

ルークの母はドイツのテレビ局に対し、娘は襲撃当日に死亡したとの見方を示すとともに「少なくとも(娘は)苦しみはしなかった」と語った。

ルークが死亡した状況は正確には分かっていない。音楽祭の参加者の1人はドイツの政治討論番組で、亡くなる前のルークを目撃したと証言している。「われわれは彼女が、頭にけがをして血を流しているのを目撃した。連中(ハマス)は彼女を取り囲み、彼女が苦しんでいると歌い、うれしそうに喝采の声を上げていた。あれが彼女にとってこの世における最後の瞬間だったなんて」

ルークのきょうだいのアミットはその死を悼んでこう述べた。「彼女は音楽が大好きだった。タトゥーも大好きだった。生まれながらの芸術家で、話す様子も体の動かし方もダンスをするところもまさにそんな感じだった。ダークな面などない、本物の天使だった」

ハマスや関係する団体が10月の攻撃の際にイスラエルから連れ去った人質は250人で、今も125人ほどが拘束されたままだ。そのうち生存者がどのくらいいるかは分かっていない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ショルツ独首相、2期目出馬へ ピストリウス国防相が

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中