最新記事
東京ベイeSGプロジェクト

「持続可能な新しい価値」を生み出す、東京発のチャレンジ

2024年1月17日(水)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載
近い将来の東京・ベイエリアのイメージ

自然の景観と先端テクノロジーが高度に融合した、近い将来の東京・ベイエリアをイメージしたビジュアル

<世界中の都市が、これまでの価値観や方法では克服できないさまざまな課題に直面する昨今。「環境」「防災」「金融」など世界共通の都市課題に対し、東京も最先端のテクノロジーやデジタルノウハウ、世代を超えて受け継がれてきた知見なども組み合わせながら挑んでいる。そのカギとなるのが「SusHi Tech Tokyo(スシテック東京)」というコンセプトだ>

Sustainable High City Tech Tokyoの頭文字から成る「SusHi Tech Tokyo」。職人の技術により、旬の素材をひとつの文化へと昇華させてきた"鮨"を再解釈したコンセプトだ。最先端のテクノロジーなどを通じて「持続可能な新しい価値」を生み出し、東京から世界へ発信していきたいという思いが込められている。

その思いを体現するための取組の一つが、2021年に都が発表した「東京ベイeSGプロジェクト」だ。都市構造から社会のあり方を見直すことで危機を乗り越え、50年後、100年後でも持続可能な都市を目指すプロジェクトである。舞台となるのは、約1,000ヘクタールに及ぶ臨海副都心とその南部に広がる中央防波堤エリア。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の関連施設も集まり、職・住・学・遊の機能がバランスよく並ぶほか、日本を代表する物流ターミナルを備えるなど、プロジェクト遂行にはうってつけの場所だ。

 

この環境を活かして目指すのは、デジタルテクノロジーによるゼロエミッションの構築だ。海と運河に面した水辺の立地を生かしながら公園や緑地を整備し、すべてのエネルギー需要を水素を中心とした再生可能エネルギーで賄う街へと発展させよう、というわけだ。

新しい価値を発信する世界のモデル都市へ

プロジェクト名に記される「eSG」には、ESG本来の概念(Environment=環境、Social=社会、Governance=ガバナンス)だけでなく、エコロジー=ecology、経済=economy、画期的技術=epoch-makingといった意味合いも含まれる。目指すべき都市像のイメージが、そこには凝縮されている。

実現に向けた最初の大きなターゲットは2030年。5Gによる通信インフラ網の整備をはじめ、風力発電や浮体式太陽光発電といったベイエリアならではの発電システムの設置、エネルギーマネジメントシステムの構築、ZEV(無公害車)を活用した域内交通など、最先端テクノロジーの社会実装を進めていく。新技術の開発に取り組むスタートアップ企業等を巻き込みながら、プロジェクトを段階的に推進していく。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中