もはや「わざと戦争を長引かせて」政治生命の維持に固執するしかない、ネタニヤフとその代償
BIBI’S SURVIVAL PLAN
わざと戦争を長引かせる?
今のところネタニヤフは「戦時には政権転覆を図ってはならない」という金言の恩恵を受けているようだ。
しかしテレビ局「チャンネル12」のコメンテーターを務めるアムノン・アブラモビッチは、ネタニヤフが首相として生き残るために、戦略的な目標を達成した後も戦争を長引かせようとするかもしれないと指摘した。
「確実にそうするとは言えないが、可能性は排除できない」と彼は言う。
支持率が急落している上に、公の場で責任を追及されるのを避けるために軍関係者の葬儀にも出席していない現状を考えると、確かにネタニヤフの支持回復は遠そうだ。
それでも彼は10月に、野党・国民統一党から前国防相のベニー・ガンツ党首と元参謀総長のガディ・アイゼンコットの2人を引き入れて緊急政府を樹立。当面、首相として生き残る道を確保した。
ネタニヤフや側近たちはこれを、イスラエルを破壊しようとする者に対抗する国家生き残りのための戦いと位置付け、緊急政府が下す決定は首相個人の生き残り戦略とは無関係だと主張することに利用している。
「これはネタニヤフ対ハマスではなく、イスラエル対テロの戦いだ」と、リクード党議員で国会の外交・防衛問題委員会のメンバーであるボアズ・ビスムートは言う。「問題はネタニヤフではない」
しかし戦闘が始まってほぼ2カ月が過ぎた今も、ハマスの越境攻撃を許した責任はネタニヤフにあるという見方は強い。ネタニヤフは長年にわたり、カタール政府によるハマスへの資金援助を許してきた。
さらに、パレスチナ自治政府の代理で徴収している税の自治政府への送金を何度か差し止めてもいる。パレスチナに分断を引き起こし、イスラエルに対する国際的な和平圧力を回避しようという計算なのだろう。
「ハマスの強化がネタニヤフの狙いだ」と、ワシントンでイスラエル軍事駐在武官を務めた退役将軍のガディ・シャムニは言う。「彼は歴史のごみ箱に葬り去られるべきだ」
ネタニヤフは、ハマスの襲撃を許した責任を少しでも認めれば政敵に揚げ足を取られることを懸念していると、ブシンスキーはみる。アルフェルに言わせれば、ネタニヤフは調査委員会が責任の所在を確定させる前に自身の非を認めることにならないよう慎重になっているという。