中国vsインド、グローバルサウス「新リーダー」をめぐる争いの行方【注目ニュースをアニメで解説】
Newsweek Japan-YouTube
<グローバルサウスのリーダーシップの座をめぐる争いについて解説したアニメーション動画の内容を一部紹介>
カネと威嚇で途上国を取り込んできた習近平の計画に暗雲が漂う一方、西側はインドをグローバルサウスの新リーダーとして受け入れる準備をしている。中国の「共産主義+帝国主義+拡張主義」はもう限界か──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「中国vsインド、グローバルサウス「新リーダー」をめぐる争いの行方は?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
中国は1960年代の初め以降、西側に対抗する途上国の擁護者を自称してきた。
毛沢東の掲げた「農村から都市を包囲する」戦略は、1930年代の内戦で国民党政権を倒した勝利の方程式でもある。新しい方程式では、打倒するべき「都市」はアメリカが主導する先進国、「農村」はそれ以外の国々で、中国は必然的に「農村」側の指導者ということになった。
ただ1976年に毛が死去すると、それから20年間は世界革命をうたうこともなくなった。
その後、中国経済が持続的な高度成長に入ると、新しい共産党指導者を通じて古い帝国主義的な拡張主義が復活。
朝鮮戦争後、アジア太平洋におけるアメリカのプレゼンスは、中国が海洋上に設定した軍事的防衛ラインである「列島線」に基づく戦略を取ってきた。沖縄、台湾、フィリピンを結んで南シナ海に至る第1列島線沿いの同盟国を強化して、共産主義の進撃を阻止するというものだ。第2列島線と第3列島線でも同様に中国の封じ込めを試みている。
しかしアメリカは1970年代に第1列島線の一部を放棄し、台湾とフィリピンの米軍基地を手放した。冷戦勝利後の財政赤字削減計画の一環として、23の途上国で大使館を閉鎖している。
その間に中国は太平洋島嶼国をやすやすと口説き落とし、30年足らずの間にグローバルサウスで高い支持を集めるようになった。
中国にとって、グローバルサウスへの投資がもたらす地政学的な見返りは小さくない。なかでも重要なのは、パナマ運河両端の港の管理権を確保したこと、ジブチに海軍基地を開設したこと、そしてミャンマー領の大ココ島に軍事施設を建設したことだ。中国はこれで、既に設置した南シナ海の人工島にある軍事施設と合わせて、世界3大水路の戦略的難所で通航妨害を行えるようになった。
ただし、中国の勢いは周辺国との関係や経済の機能不全といった理由で弱まりつつある。最近の債務危機とパンデミックからの回復の失敗は、今後の見通しも厳しいことを物語っている。
一帯一路のインフラプロジェクトでは中国政府からの資金が枯渇し始め、アフリカでは中華思想が人種差別と表裏一体だと知られるようになってきた。
また、途上国は西側と中国の対立に巻き込まれることにも警戒している。
こうした状況で、インドが中国に代わってグローバルサウスのリーダーとなる態勢を整えている。人権問題を抱えているものの、世界最大の民主主義国家として、中国のような政治的抑圧は行っていない。この展開を西側も受け入れようとしている。
ただし、中国はインドの挑戦をおとなしく受けるつもりはない。インドにとって最も大きな脅威は、チベット高原から流れてくる水資源を完全に支配されることだ。また、中国はインドの敵国パキスタンに戦闘機や攻撃型潜水艦を供給している。
重要なのは、グローバルノースとサウスの仲介者としてのインドの立ち位置に、西側がしびれを切らさないことだ。
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