最新記事
チェコ

我が子を亡くしたサル、死骸を数日間持ち運んだ末に共食い...衝撃の行動が映される

Monkey Carried Around Dead Baby for Days, Then Ate It

2023年7月7日(金)16時00分
ジェス・トムソン
ドリル

(写真はイメージです) Juan Albors-Shutterstock

<母親はどもの死後2日後にはその死骸を食べ始め、ほぼ完全に食べ尽くした>

ヨーロッパのある動物園で飼育されているメスのサルが、自分の子供が死んだ数日後にその死骸を食べた。この行動はチェコのドヴォル・クラロヴェ・サファリパークで、メスのドリルのクマシが2020年8月にオスの子供を出産した後に確認された。

子供は生後わずか8日で死亡し、その後クマシは2日間もその体を抱えて歩き回った。6月27日に掲載された学術誌プリマーテスの論文によれば、クマシはその後、我が子の死骸を食べ始め、飼育員が清掃にあたる前にその大部分を食べてしまったという。

【動画】閲覧注意:我が子の死骸を食う母サルの姿

「母親は子供の死後も毛づくろいを続けた。死後2日後には死骸を食べ始め、ほぼ完全に食べ尽くした。他のドリルとは共有しなかった。飼育されているドリルの群れにおいて、子供の死骸を持ち歩いた末に食べてしまうという事例が報告されるのは、これが初めてだ」と論文の著者たちはつづっている。

ドリルは、マンドリルやヒヒと近縁の種で、中央アフリカ原産である。IUCNのレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されており、全アフリカの霊長類の中でも最も保全優先度が高いとされている。野生では約4000匹しか残っていない。

イタリア・ピサ大学の霊長類生物学者であるエリザベッタ・パラギ博士はウェブメディアのライブ・サイエンスの取材で、「サルや類人猿はしばしばこのようにして、死骸の顔や目を観察し、目が動いているかを確認している。反応が得られなければ、何か問題があるのだと気づくのだろう」と語っている。

「霊長類の母親は、子供を産むために大量のエネルギーを使う...クマシが他のドリルと死骸を共有しなかったという事実は、共食い行為が栄養補給のために行われるという仮説を支持している」

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中