最新記事
「プリゴジンの乱」

「プーチンはFSBにプリゴジンの暗殺を指示した」

Putin Assigned the FSB To Assassinate Prigozhin: Ukrainian Intelligence

2023年7月4日(火)18時00分
ブレンダン・コール

ロシア軍の南部軍管区司令部を占拠したときのプリゴジン Press service of "Concord"/Handout/REUTERS

<プリゴジンはプーチンにとって邪魔だがまだ使える人間だ。それでも暗殺は時間の問題だ>

<動画>弱いロシア軍に不満?プーチンが露骨にショイグをシカトする衝撃映像

ウクライナ国防省情報総局長のキリーロ・ブダノフ少将によれば、ロシア連邦保安庁(FSB)は、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンの暗殺計画を進めているという。

ブダノフは、自動車ニュースサイト「ドライブ」の一部である「ウォー・ゾーン」とのインタビューのなかで、ウクライナはプリゴジンの反乱計画を「かなり前から」把握しており、プーチン侵攻の戦いにおいて、ワグネルはもはや脅威にはならないと述べた。

プリゴジンは6月24日、ワグネルがロシア軍の攻撃を受けたため、ロシアのロストフ・ナ・ドヌにあるロシア軍の南部軍管区司令部を占拠したと発表した。

その後プリゴジンはロシア軍事指導部に反旗を翻し、モスクワへ進軍たが、プリゴジンとワグネル戦闘員の罪は問わないなどの条件で、進軍を中止した。プリゴジンは隣国ベラルーシに亡命を許され、今はその地にいる。

プーチンはプリゴジンを暗殺するか

プリゴジンは「プーチンによって暗殺される」と思うかという質問に対し、ブダノフは「FSBが、既にプリゴジンを暗殺する任務を課されたことは把握している」と答えた。

ブダノフは、「彼らは成功するだろうか? 時間がたてばわかるだろう」と述べ、「暗殺計画がすぐに実行されることはないだろう。適切なアプローチをとり、大規模な作戦を実行できる段階に達するには、しばらく時間がかかる」と補足した。

「これは大きな疑問だ。彼らはそれを成し遂げるだろうか? その命令を実行しようとするだろうか?」

アメリカのセキュリティー企業グローバル・ガーディアンのシニア・インテリジェンスアナリスト、ゼヴ・フェインタックは本誌の取材に対し、プリゴジンはまだプーチンにとって有益な存在であり、プリゴジンの反乱を止めた合意は「一時的なもの」だという見解を示している。

プーチンは「プリゴジンを排除する絶好のタイミングを」待っている、とフェインタック言った。「ウルトラナショナリストたちから攻撃を受けないで済みそうまときに判断したときに」排除にかかるだろうという。

「プリゴジンの反乱は、政府批判の許容範囲を大きく拡大したので、見せしめにする必要がある」とフェインタックは述べる。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-インタビュー:トランプ関税で荷動きに懸念、荷

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック上昇、トランプ関税

ワールド

USTR、一部の国に対する一律関税案策定 20%下

ビジネス

米自動車販売、第1四半期は増加 トランプ関税控えS
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中