「日本の人口問題は防衛問題」──世界が慎重に見守る、日本の「急速な」少子高齢化
JAPAN’S DISAPPEARING ACT
「少子高齢化に関して、日本は他国より10年、20年も先を行っている」と言うのは、アメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のエリン・マーフィー上級研究員。「その日本がどう対処するかを、各国は慎重に見守っている」
「韓国女性の置かれた状況も同じだが、彼女たちは子育てや育児休業などの問題について、日本人よりずっと大きな声を上げてきた」と、マーフィーは指摘した。
「さらに、不妊治療の問題もある。キャリアを優先して出産を先送りしてきた女性たちには必要な措置だが、これがやたらと高額で、必ずしも社会に受け入れられていない。どれも大きな問題なのに、日本政府の対応はお粗末だ」
「母となった女性の職場復帰は、必ずしも歓迎されない。家で子育てに励めという古い考え方が根強いからだ。職場に戻れたとしても、フルタイムで働きながら子育ても家事もこなすのでは負担があまりに重い。そもそも、政策決定に関わる立場にいる女性が少なすぎる」
真の問題は選択肢の少なさ
政治家も世論も保守色に染まっている日本では、人口減の危機についても、外向きではなく内向きのソリューションに頼りがちだ。現実を見れば、移民の受け入れを増やすしかないと思えるのだが。
東京大学教授でジェンダーや世代間格差の問題に詳しい社会学者の白波瀬佐和子に聞くと、必ずしも出生率の低さが問題なのではないという答えが返ってきた。
「それが人々の前向きな選択ならOK」だが、現実には「若い人の過半数が結婚して家庭を持ち、子供も欲しいと思っているのに、それを諦めている」。
しかも、日本は移民の受け入れに消極的だ。