最新記事
日本社会

「日本の人口問題は防衛問題」──世界が慎重に見守る、日本の「急速な」少子高齢化

JAPAN’S DISAPPEARING ACT

2023年5月24日(水)15時50分
ジョン・フェン(本誌記者)
交差点

RUBEN EARTH/GETTY IMAGES

<予想よりも早く人口減が進む日本は、「世界の20~30年後」として注視されている。急がれる国の存亡をかけた対策>

言うまでもないが、アジアで中国に次ぐ経済大国の日本は少子高齢化の先進国でもある。しかも、その流れを止めるのは至難の業だと政府も認めている。

最新の公式統計によれば、日本の人口は2008年をピークに減り続けており、昨年10月時点で1億2495万人。前年比で50万人以上も減った。

また生産年齢(15~64歳)の人口は7421万人で総人口の59%となり、戦後最低を更新した。一方で65歳以上の人は3624万人。総人口の29%という、1920年以降で最高の割合になった。

少子高齢化の兆しは、日本経済のバブルがはじけた1990年代前半から見えていた。ある意味、それは前代未聞の事態であり、諸外国も日本政府の対応に注目している。

人口の集中する首都・東京を除けば、人口減は国内どこでも想定外のペースで進んでいる。国全体の出生数は、1899年の調査開始以来初めて80万人を割り込んだ。日本政府はこれまで、80万の大台を割るのは27年以降と見込んでいた。

国立社会保障・人口問題研究所(人口研)の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によれば、このままでいくと2059年には年間の出生数が50万人を割り込む恐れがある。

日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は1.3前後で、人口の維持に必要とされる2.1を大きく下回っており、OECD(経済協力開発機構)加盟の主要先進国の中でも最低水準にある。日本より低いのは、イタリア(1.24)と韓国(0.78)だけだ。

一方で日本は、国連の言う「超高齢」社会(人口の21%超が65歳以上)でもある。生産年齢の人口は減る一方だから、このままだと年金などの社会保障費を負担し切れない。

なにしろ21世紀の後半には、65歳以上の高齢者人口が38.7%に達すると予想されている。日本人の平均寿命は20年時点で女性87.7歳、男性81.6歳だったが、70年には女性91.9歳、男性85.9歳まで上昇する可能性があるという。

一方、08年に1億2808万人でピークを迎えた総人口は、このままで推移すれば、70年には8700万人まで落ち込むと予測される。

日本の総人口が1億を割り込む時期について、人口研は6年前の推計で「2053年」頃としていたが、今回は外国人居住者の増加を見込んで「2056年」に修正している。20年段階で総人口に占める外国人の割合は2.2%だったが、70年段階では10.8%という想定だ。

今回が「最後のチャンス」

日本の若者の意識は、アジアの他の先進国でも見られる人口動態の傾向を示す重要な指標となっている。どこの国でも、雇用の不安や生活費の高騰を理由に結婚や出産を先送りする、あるいは完全に諦めてしまう人が増えている。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

世界秩序は変化「断絶ではない」、ECB総裁が加首相

ビジネス

シティ、3月も人員削減へ 1月の1000人削減後=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、1月速報値51.5で横ばい 価

ビジネス

グリーン英中銀委員、インフレ圧力や賃金上昇指標を依
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 8
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中