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「沈黙」する米潜水艦隊...本誌の調査報道が暴く「不十分すぎる」運用の実体

SUNK COST

2023年5月19日(金)12時30分
ウィリアム・アーキン(ジャーナリスト、元米陸軍情報分析官)

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オハイオ級原潜から発射された弾道ミサイル RONALD GUTRIDGEーU.S. NAVY

米海軍の機密文書が示すように、昨年も米海軍の潜水艦の出動回数は全体として増えていない。一つには増やす必要がなかったからだ。中ロの潜水艦はアメリカの潜水艦以上に母港に引きこもっていた。

ロシアは潜水艦の活動を冷戦時代のレベルに戻しつつあり、比較的新型の潜水艦を米東海岸沖まで派遣している──米国防総省はそう述べているが、現実にはそんな兆候はない。

ロシアの攻撃型潜水艦は「大半がとりでに引きこもっている」と、全米科学者連盟の原子力専門家であるハンス・クリステンセンは言う。「とりで」とは、警戒体制が万全なロシアの近海、つまり北極海のバレンツ海に、ベーリング海とオホーツク海のことだ。機密文書によれば、昨年ロシアの弾道ミサイル搭載潜水艦が近海の外に出たのはわずか9回。攻撃型および巡航ミサイル搭載潜水艦がとりでの外に出たのは11回だけだ。いずれの場合も米海軍の攻撃型潜水艦1隻が追尾したと、米海軍の機密の「接触」報告書は述べている。

中国も大差ない。昨年の動きはロシアよりは活発だったが、保有する16隻の原潜を含め、中国の潜水艦もおおむね警備の行き届いた本土周辺の海域にとどまっていた。

違う「深さ」が求められている

米海軍は中ロの潜水艦がステルス性を高めているとして、その回避と探知のために老朽化した自軍の潜水艦を入れ替え、今以上に高度で静かな艦を導入して保有数を増やす必要があると主張。過去最大規模の予算で更新計画を進めようとしている。

「ひそかに、かつ迅速に対応できる態勢と能力を維持し、水中における戦術的優位を守る必要がある」と、昨年11月にカルロス・デル・トロ米海軍長官は述べた。「敵対勢力を抑止し、必要とあらば戦争に勝つため、最適な能力を配備し維持する計画を全力で推進しなければならない」

国防総省は今後10年間に艦船建造予算の約60%に当たる2000億ドルを投じて新たな潜水艦を建造する予定だ。現在4クラスの潜水艦が建造中か、建造を予定されている。ロサンゼルス級に代わるバージニア級攻撃型潜水艦、31年から既存のオハイオ級に代わって導入される新たな「コロンビア級」の弾道ミサイル搭載潜水艦、現役の4隻の巡航ミサイル搭載潜水艦に代わる、ペイロード(積載重量)が大きいミサイルを搭載できる新型潜水艦、それにバージニア級の艦隊に順次導入され、最終的には完全に既存艦に取って代わる「次世代型」の多目的原潜SSN(X)だ。

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