転職活動がうまくいかないのは「言い訳」をしているから──47歳でGoogleに入社した主席デザイナーの提言
人生において、完璧に準備が整う時点はない。自分にふさわしい会社かそうでないかは会社が決めることであって、自分で決めることではない。採用通知は受け取るものであって、自ら発行するものではない。
あなたがすべきことはいろいろな会社にエントリーすることだ。答えを決めてから問題を解こうとすると、間違える確率だけが高まる。
採用のチャンスを広げよう
コロナ禍の影響で、企業の人材採用はこれまでになく慎重になり、採用基準も厳しくなった。求人広告を出している企業に応募して狭き門を通り抜けるのは、ラクダが針の穴を通るように難しい。こんなときは、採用担当者や企業を引き寄せる作戦を同時に実行しよう。
たとえばデザイナーであれば、フリーランスとしてのプロジェクトを毎月インターネットにアップするという方法がある。世間によく知られている製品やアプリ、ウェブサイトを選んで、「私がもしリニューアルをしたら」というコンセプトでアイデアをアップするのだ。
発信する媒体はブログサービスでもいいし、自分のフォロワーがいるSNS(フェイスブック、インスタグラムなど)やプロフェッショナルネットワークの「リンクトイン」でもいい。
アイデアだけではなく、問題分析力やストーリーテリング、説得力などがアピールできるように構成する。実際の現場でも必要なスキルなので、練習の一環だと考えればいい。
成功事例はインターネット上で簡単に見つけることができる。私はケヴィン・ユージン氏が2018年に投稿した「私がもしアップルSiriをデザインし直したら」が印象に残っているが、現在彼はアップルでデザイナーとして働いている。
また、同じくアップルで働くディーケイ・クオン氏も自身のアイデアをリンクトインに定期的に投稿して好評を得ている。クリスチャン・ミカエル氏はグーグルアプリのアイコンをリニューアルするアイデアを投稿して熱い議論を巻き起こし、200件以上のコメントがついた。
オンライン上で友達を作ったり、カンファレンスで名刺交換をしたりしても、自動的にネットワークが作られるわけではない。
人は自分に役立つ相手と人間関係を結びたがる。ここでの「役立つ」とは、自分にインスピレーションをもたらしてくれるというだけで十分だ。
もし今、あなたが「準備ができたらやってみよう」と思いながらこの本を読んでいるとしたら、もう一度繰り返すが、そんな日はやってこない。物事はとりあえず始めてから何とかするものであって、準備を整えてから始めるものではない。