もう一つの隣国ジョージアで「ロシア化反対」の大規模デモ
Protests ignite in another of Russia's neighbors
首都トビリシの通りを埋め尽くし、警官隊と対峙するデモ参加者(3月7日) Zurab Javakhadze-REUTERS
<ロシア発の「外国の代理人」法案に抗議、ジョージアの首都トビリシにEU加盟を望む親欧米派が集結、一部暴徒化する騒ぎに>
黒海に臨むロシアのもう1つの隣国ジョージア(グルジアから国名変更)。首都トビリシでは3月7日、大規模なデモが発生。通りを埋め尽くした市民が夜を徹して治安警察と対峙した。
デモは議会で審議中の法案に抗議するもので、参加者たちは赤と白の国旗とともに、ウクライナ、NATO、EUの旗を掲げ、「ロシアの法律はごめんだ」と叫びながら、通りを練り歩いた。暴徒化した一部の参加者が、治安警察に石や火炎瓶を投げつけ、警察側が放水と催涙ガスで応じる騒ぎとなった。
問題の法案は、外国からの寄付が資本の20%以上を占める組織に「外国の代理人」として登録を義務付けるもので、ロシアをはじめロシア寄りの旧ソ連諸国に同様の法律がある。
ロシアとEU-NATOとの対立が深まるに伴い、ジョージアの戦略的な重要性は高まる一方で、西側の一員になることを望むジョージアの民主派はロシアの内政干渉や情報工作を警戒している。
同じ黒海を囲むウクライナ、モルドバと共にロシア圏からの脱出を図るジョージアだが Peter Hermes Furian-shutterstock
大統領は拒否権発動を表明
訪米中のジョージアのサロメ・ズラビシビリ大統領は、アメリカのメディアに対しロシアをはっきりと名指しして、次のように語った。
「誰も必要としていないこの法律は突然降って湧いたわけではない。ロシア政府の差し金によるものだ......自国の未来はヨーロッパにあると確信するジョージアの人々は、この未来を奪う暴挙を決して許さない」
ズラビシビリは、この法案に拒否権を発動すると明言した。
ジョージアの議会(一院制)は読会制を採用しており、法案は3段階の読会で審議される。与党「ジョージアの夢」が議会の多数議席を握っており、与党内の新ロ派が提出した問題の法案は今週、第1読会で可決された。たとえ大統領が署名を拒否しても、議会の圧倒的多数が賛成すれば、これを覆せる。今のところ法案に反対票を投じた議員は13人だけだ。
ジョージア内務省の8日の発表によれば、7日夜の騒乱で66人が逮捕された。デモ隊は議事堂に通じる道路の封鎖を試み、議事堂や警察車両に放火。手術が必要な数人の重傷者も含め、警察官50人前後が負傷したという。