地上の地獄──血まみれの土地に巨大刑務所開設、エルサルバドル
移送される受刑者たち YouTube/Channel 4 News
<ブケレ大統領は、同国の他の刑務所では受刑者が、売春婦を呼んだり、プレイステーションを楽しみ、電話の使用ができる環境だと主張している。こういった行為は新たな刑務所では一切許されない>
中央アメリカ中部に位置するエルサルバドル。この国に、地上の地獄と言えそうな新しい刑務所ができた。
首都サンサルバドルの南にあるテコルカ市の農村地域に開設された「テロリスト監禁センター(CECOT)」は、アメリカ大陸において最大規模で、施設は8つの鉄筋コンクリートの建物から成る、最大で4万人を収容できる巨大刑務所だ。2月24日、最初の収容者2000人が移送された。
収容者は逮捕されたギャング達。丸刈りにされ、上半身裸の2000人もの男性が後ろ手に手錠をかけられ、足は鎖でつながれている。収容者のアイデンティティは剥奪される。収容者100 人に対して80のベッドしかないと、英デイリーメールは報じている。
「支配」を究極のレベルに
刑務所は受刑者の生活を支配し、自由を奪うように設計されるが、CECOTはそれを究極のレベルまで引き上げている。
エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領は、同国の他の刑務所では受刑者が、売春婦を呼んだり、テレビ視聴、さらにプレイステーションを楽しみ、電話の使用ができてしまう環境だと主張している。こういった行為はCECOTでは、一切許されない。
外界との接触を不可能にするため、携帯電話の信号を遮断する電子スクランブラーを導入。脱走防止策として、頑丈な鋼鉄の独房、周囲を囲う壁、19の監視塔、 電気柵、パトロールエリアといった、7つの「壁」を作った。
ギャングへの強いメッセージ
エルサルバドル政府がここまで強烈な刑務所を作ったのは、国を悩ませてきた暴力的なギャング達の、暴力の応酬に終止符を打ちたいからだ。
約12年間続いた内戦は終わったものの、戦中に流出した武器が国内に大量に残されており、ギャングによる犯罪が横行している。経済状況は停滞し、貧困率も高く、治安は悪化の一途。米『グローバル・ファイナンス』が発表した「世界で最も治安の良い国ランキング」によると、エルサルバドルは105位だ。